競輪補助事業(平成14年度) |
平成14年11月15日、東京プリンスホテル2階「プロビデンスホール」にて、「IT時代の紛争解決メカニズム―ADRへの期待」をテーマとする国際シンポジウムを開催した。
参加者は、モデレーター、スピーカー及びパネリストを含め、142名であった。
〔プログラム〕
(午前)
講演―1 「知的財産権紛争の裁判所における解決と裁判外の解決」
1.各国ADR制度の紹介
- 利用状況:ADR機関、利用件数・料金、紛争と処理類型 等
- 運用の実務―解決に至る流れ:仲裁→調停(または和解斡旋)、調停→仲裁 等
- 裁判手続との関係:調停前置、付仲裁・付調停、時効の扱い、執行力の付与、証拠調べ 等
- 仲裁人・調停人の確保及びそのトレーニング
(午後)
講演―2 「利用者から見たADRへの期待―事例紹介を中心に」
2.個別的問題の検討
- 知的財産権のADR
- コンピューター・ソフトウェア取引のADR
- 電子商取引紛争とオンラインADRの利用
〔パネリスト等〕
講演者:
- 東京地方裁判所 民事第29部裁判長 飯村敏明
- 富士通(株) 法務・知的財産権本部本部長 山地克郎
モデレーター:
- 道垣内正人 東京大学 大学院法学政治学研究科教授
- 椙山敬士 弁護士(虎ノ門南法律事務所)
スピーカー・パネリスト:
- 陳家駿(George C.C.Chen) 台湾弁護士(Tsai, Lee & Chen)
- Alban Kang シンガポール弁護士(Alban Tay Mahtani & De Silva)
- Robert David Allan Knutson 英国弁護士/ICC他の仲裁人
- Li Hu 中国弁護士/中国国際商業会議所仲裁研究所(CCOIC)副所長
- Philip McConnaughay ペンシルバニア州立大学ディキンソン・ロースクール学部長
- 孫京漢(Kyung-Han Sohn) 韓国弁護士(Aram International)
- Rungao Zheng 中国弁護士/中韓取引紛争解決センター国際交流委員会副委員長
- 大石完一 東京地方裁判所 民事調停委員(コンピューター専門)
- 大川 宏 弁護士(総合法律事務所あおぞら)
- 田中信義 東京地方裁判所 民事第22部裁判長
- 山本和彦 一橋大学 大学院国際企業戦略研究科教授
「ソフトウェア等の権利保護に関する調査研究委員会」(委員長:三木茂弁護士)において、データベース、ファイル交換ソフトウェア、ソフトウェアの表示画面等に関する著作権侵害事件を取り上げ、それらの保護範囲及び違法コピー事件に関する損害賠償等の検討を行った。
「ソフトウェア関連特許に関する調査研究委員会」(委員長:中山信弘 東京大学教授)では、平成14年4月に改正された特許法の改正内容を踏まえ、ソフトウェア関連の特許事件判例を材料に、それらのケースにおける間接侵害、ネットワークを介した場合の特許侵害の成否等、ソフトウェア関連特許の権利行使の問題についての検討を行った。
「デジタルコンテンツの権利処理と契約に関する調査研究委員会」(委員長:野村豊弘 学習院大学教授)において、画像、キャラクター等のコンテンツの利用又は流通についての契約について検討し、また、氏名・肖像や物のパブリシティの権利について、現行法制上どうのように考えられているか等について検討を行った。
本年度は、以下に示す国際会議に参加し、海外におけるソフトウェアの権利保護、電子商取引等に関する情報収集を行った。
最近話題となっている著作権関連判例、トピックの要約等をSOFTIC Law News(SLN)として発行するとともに、内外の関連誌のトピックを紹介する「知的財産権問題関連入手資料ご案内」を毎月発行した。
ソフトウェアの知的財産権に関する基礎的な知識を習得することを目的とするAコース及び専門的な知識を習得することを目的とするBコースに加え、短期間に主要な内容を習得するための短期コースを設け、入門講座を開講した。受講者数は3コース合計で54名であった。
平成14年度は、次の2件のセミナーを開催した。
本セミナーでは、経済産業省より「電子商取引等に関する準則」の作成に携われた西江課長補佐、池谷係長を講師にお迎えし、準則の解説を行って頂いた。3月に準則が公開されたばかりということもあり、電子商取引に携わる企業の担当者等多数の参加を得た。
4月に行われた特許法改正を踏まえ、今回の改正法の立法担当者である広実室長により改正内容を中心とする解説が行われ、続いて、今回の改正がソフトウェア特許の実務に及ぼす影響等についてパネルディスカッションが行われた。
事務局に閲覧室を設置し、当財団が実施した各種調査研究の成果物をはじめ内外のソフトウェア関連資料を整理拡充し、広く一般の利用に供するとともに、インターネットを利用した情報の提供を行った。
ソフトウェア・エスクロウ・エージェントとして、ソフトウェア・エスクロウ制度の普及に努め、数多くの問い合わせを受けた。本年度の成約件数は18件(うち新規契約が6件)であった。18件のうち、12件が海外との取引であった。
ソフトウェア取引に関する紛争解決手段の一つとして、仲裁制度が注目されている。平成14年度は、韓国、台湾、中国、シンガポール、英国及び米国の各国におけるADR(裁判外紛争解決)の実態について調査を行った。
「ソフトウェア契約関連判例に関する調査研究委員会」(委員長:吉田正夫弁護士)を設置し、ソフトウェアの開発委託契約に関し対象ソフトウェアの不具合が瑕疵に該当するか否か、シュリンクラップ契約違反か否か等に関する判例を検討材料として、ソフトウェア契約における法的及び契約上の諸問題について検討した。
「プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律」に基づき、プログラムの著作物の登録事務を行った。また、関係者への制度の説明、登録された情報に関する官報公示、登録年報の発行及び検索サービス等の情報提供を行った。また、プログラム登録の申請に必要な提出資料であるプログラムの著作物の複製物の電子媒体化について、検討の準備を行った。