原告ENPAT, INC., et al.

被告MICROSOFT CORPORATION, et al.

民事訴訟 No.97-1909-A

合衆国地方裁判所バージニア州東部地方、
アレキサンドリア地区

6F. Supp. 2d 537; 1998 U.S. Dist. LEXIS 7842; 47 U.S.P.Q.2d (BNA) 1218

1998年5月22日、決定
1998年5月22日、登録

処分: [*1]部分的略式判決(外国での販売)を求めるMicrosoftの申し立ては、認められる。

主要用語: 特許、侵害、特許を受けた、使用料、外国、侵害する、寄与、誘発、侵害する、侵害者、国内、組み立て、生産、非侵害、装置、立法経過、記録部、寄与的に、組み立てられた、維持、ソフトウェア、能動的、機械、送る、ライセンス、誘発する、靴

弁護士: 原告側: Craig C. Reilly弁護士、Richard、McGETTIGAN、REILLY & WEST、バージニア州アレキサンドリア。

被告側: William D.Dolan弁護士、VENABLE、BAETJER & HOWARD、バージニア州マクリーン。

被告側: Andrew C. Bisulca弁護士、バージニア州スプリングフィールド。

裁判官: Leonie M. Brinkema、合衆国地方判事

意見者: Leonie M. Brinkema

意見: 簡短な判決文

部分的略式判決(外国での販売)を求めるMicrosoftの申し立てが、本法廷に提起されている。

原告はMicrosoftの2つの製品、Microsoft ProjectおよびMicrosoft Team Managerが、原告の特許、合衆国特許第5,548,506号(「第'506号特許」)を寄与侵害しているか、または能動的に侵害を誘発していると告発している。1 救済として原告はMicrosoftに、これらの製品の国内での販売に対して1320万ドル、外国での販売に対して1180万ドルという妥当な使用料を支払わせることを求めている。Microsoftは上記の申し立てによって対応した。

部分的略式判決(外国での販売)を求める申し立てにおいてMicrosoftは、(1)Microsoft ProjectおよびMicrosoft Team Managerの外国での販売が、35 U.S.C. @ 271 (b) 、 (c) または (f) に定義されている寄与侵害または能動的誘発ではなく、 (2) 上記の製品が寄与侵害しているまたは能動的に侵害を誘発しているとしても、その外国での販売はかかる違反に対する損害賠償の計算には使うことはできないと主張する。

侵害であるとの主張に反対するMicrosoftの論理は簡単である。寄与侵害または侵害の能動的誘発に対して責任があると判断するには、直接侵害がなければならない。Joy Tech., Inc. v. Flakt, Inc., 6 F.3d 770, 774(連邦巡回、1993)参照。第'506号特許のような方法特許は、特許を受けた方法を実施することによってのみ直接的に侵害される。2 同上at 773参照。さらに35 U.S.C. @ 271 (a) に基づく侵害を構成するためには、告発された使用は「合衆国内」で起こらなければならない。35 U.S.C. @ 271 (a) ; Akzona, Inc. v. E.I.Dupont, 662 F.Supp.603, 611-13 (D.Del.1987)参照。本件の場合、外国のソフトウェア購入者による原告の方法の使用は[*3]合衆国外で起こったのだから、直接侵害を構成できないとMicrosoftは主張する。直接侵害がないので、35 U.S.C. @ 271 (b) または (c) に記されているように、Microsoft ProjectおよびMicrosoft Team Managerの外国での販売は、寄与侵害も能動的誘発も構成できないと、Microsoftは論じる。

原告は、この結論に反駁しない。その代わりに原告は、MicrosoftによるMicrosoft ProjectとMicrosoft Team Managerの外国での販売は、35 U.S.C. @ 271 (f) (2) に違反すると主張する。この規定は、ある種の外国での販売を明示的に禁じ、以下のように定めている: 

合衆国内でまたは合衆国から、特許を受けた発明の何らかの構成要素(=component)を、・・・[*4]合衆国内で起きたとしたら特許を侵害する態様でそれが合衆国外で組み合わされるという意図をもって・・・供給する・・・人は、侵害者とみなされる。

35 U.S.C. @ 271 (f) (2) 。それに応えてMicrosoftは、@ 271 (f) は特許を受けた製品の外国での組み立てにのみ適用され、したがって構成要素をもたない方法特許には適用されないと主張する。

Microsoftは、@ 271 (f) の立法経過に依拠する。それによれば、議会は、Deepsouth Packing Co. v. Laitram Corp., 406 U.S.518, 32 L.Ed. 2d 273, 92 S.Ct. 1700(1972)における、外国で組み立てるためのシュリンプ処理機の構成要素の被告による販売が侵害を構成しないと判断した最高裁判所の決定に応えて@ 271 (f) を制定したと説明される。1984年U.S.C.C.A.N.5824参照。(「本提案は、特許法の抜け穴をふさぐための立法上の解決策の必要性に関する・・・、Deepsouth Packing Co. v. Laitram Corp.における合衆国最高裁判所の決定に応えている」)。特に立法経過によれば、@ 271 (f) は、「この国で特許を受けた製品の構成要素を供給しその組み立てを外国で完了させることによってコピー機が合衆国特許を回避することを阻止する」とされている。同上(強調追加)。

Microsoftはまた、外国で組み立てることのできる製品または装置を表さない特許へこの規定を適用することを裁判所が拒否した、@ [*5]271 (f) を解釈する諸判例にも依拠する。たとえば連邦巡回裁判所は、Standard Havens Products, Inc. v. Gencor Indus., Inc., 953 F.2d 1360(連邦巡回、1991)においてプロセス特許を検討した際に、特許を受けているアスファルト生産プロセスを使った機械の被告による外国での販売は、@ 271 (f) と結び付かないと判断した。同上at 1374。同様にAerogroup Int'l, Inc. v. Marlboro Footworks, Ltd., 955 F.Supp.220(S.D.N.Y. 1997)において、裁判所は、靴の底についての原告のデザイン特許は、組み立てる構成要素をもっていないので、@ 271 (f) の範囲外であると判断した。同上at 231参照。

原告は、@ 271 (f) を定めた1984年の修正が@ 271 (g) も定めたと反論する。後者は、以下のように定めている: 

合衆国で特許を受けたプロセスによって生産された製品を、権限なしに合衆国に輸入した、または販売を申し出た、・・・・または合衆国内で使用した人は、侵害者とみなされる。

35 U.S.C. @ 271 (g) 。原告は、@ 271 (g) を制定した議会の決定は、法律上の定義により方法特許を含む、[*6]プロセス特許のプロセスの外国での使用に対して保護する意図を示していると主張する。35 U.S.C. @ 100 (b) 参照(「プロセス」を、「プロセス、技術または方法」を含むものとして定義する)。本法廷は原告による@ 271 (g) の解釈に反対はしないが、@ 271 (g) は、@ 271 (f) に対する彼らの主張を助けるというよりは、むしろ傷付けると判断する。なぜならこれは、議会が、プロセス特許の外国での使用に対していかに保護するかを知っており、かかる保護を、製品の合衆国への持ち込みに結び付く使用に限定することを選択したことを示しているからである。立法経過によれば、1984年の修正は、「他の国で生産されその後合衆国に輸入された製品にのみ適用される」と記されており、このことが確認される。1984年U.S.C.C.A.N.5827。明らかに、もし特許を受けた方法を外国企業が無断で使用することを可能にする製品を合衆国の企業が輸出することを禁じることを議会が意図したとすれば、@ 271 (g) に見られるのと同様の、曖昧さのない明確な表現でそうすることができたはずである。@ 271 (f) の表現および立法経過は、合衆国で特許を受けた構成要素の、外国での完成品、装置または発明への組み入れのための販売にのみ焦点を当てていることを示しているとするMicrosoftに、本法廷は同意する。[*7]

選択的訴答において原告は、第'506号特許は、外国で組み立てられるかもしれない具体的な構成要素を記していると主張する。特許を与えられた方法において考えられている、セントラル・コンピューター・サーバー、リモート・ターミナルおよびその他のコンピューター装置などである。この議論には説得力はないと本法廷は判断する。Standard Havens訴訟におけるアスファルトの生産プロセス、あるいはAerogroup訴訟における靴のデザインのように、原告の特許は特許を受けた物理的な製品の構成ではなく、特定の目的を達成するのに必要な工程を説明している。すべてのプロセスに物理的物体がからんでいるというのは真実だが、上記の判例が示すように、これだけでは方法特許を@ 271 (f) の範囲に入れるのには十分でない。本法廷は、原告の特許は@ 271(f) の目的では「構成要素」をもたないと結論付ける。

裁判所は少なくとも、特許侵害に対する損害賠償として、妥当な使用料を裁定しなければならない。35 U.S.C. @ 284参照。原告は、彼らの@ 271(f) についての論理の結果として、本法廷に、本件での侵害に対する妥当な使用料を決定する際に、Microsoftの外国での販売を考慮するように求める。Microsoftは、原告は侵害している販売に対してのみ妥当な使用料を求める権利をもち、それにはMicrosoftの[*8]外国での販売は含まれないと主張する。Nickson Indus., Inc. v. Rol Mfg. Co., 847 F.2d 795, 799(侵害と非侵害の販売を分割し前者に対してのみ損害賠償を裁定した地方裁判所の判決を維持); Amster Corp. v. Envirotech Corp., 823 F.2d 1538, 1546(連邦巡回、1987)(連邦巡回、1988)(外国での販売は侵害していないので、それに対する損害賠償を棄却した地方裁判所の判決を維持); Sutton v. Golf Smokeless Coal Co., 77 F.2d 439(第4巡回、1935)参照。それに応えて原告は、妥当な使用料の決定では、侵害している販売だけではなく、賢明な実業家がライセンスについて交渉するときに考慮する「他のすべての経済的要因」も含めるべきであると主張する。Micro Motion Inc. v. Exac Corp., 761 F.Supp. 1420, 1434(N.D. Cal,1991)参照。Microsoftの外国での販売はそのような要因の1つであると、原告は主張する。

本巡回区の法律はMicrosoftの立場を支持する。Sutton, 77 F.2d at 441参照。Sutton訴訟において原告が18の石炭保管台に対する損害賠償を請求したとき、第4巡回裁判所は、「外国での使用のために販売された9台分の損害賠償は除外しなければならない」と説明した。同上。裁判所は、「依拠された特許のクレームはプロセス・クレームであり[*9]、外国でのそのプロセスの使用はこれらのクレームの侵害を構成しない」と理由付けた。同上。その判断に従いMicrosoftは、合衆国の特許法を侵害していない外国での販売に対する損害賠償を支払うことは要求されないと、本法廷は認定する。さらに、妥当な使用料の決定は、侵害者と特許権者との間の仮想的なライセンス交渉を想定しているので、Georgia-Pacific Corp. v. United States Plywood Corp., 318 F. Supp. 1116, 1119-20(S.D.N.Y. 1970)に記されている要因を使うと、これらの要因のいずれも、Microsoftが、すでに法的に認められている外国での販売に携わる権利に対して支払いをするという結論を支持しない。したがって本法廷は、Microsoftの外国での販売は、妥当な使用料の決定においては考慮されないと結論付ける。

1998年5月15日の公開の法廷、およびこの簡短な判決文で述べられた理由により、部分的略式判決(外国での販売)を求めるMicrosoftの申し立ては、認められる。

書記官は、この簡短な判決文のコピーを記録部に送るように指示される。

1998年5月22日に登録。

Leonie M. Brinkema

合衆国地方判事


命令

付随する簡短な判決文で述べられた理由により[*10]、部分的略式判決(外国での販売)を求めるMicrosoftの申し立ては、認められる。

書記官は、この命令のコピーを記録部に送るように指示される。

1998年5月22日に登録。

Leonie M.Brinkema

合衆国地方判事

[脚注]

注1   最初の訴状において原告は、6つのソフトウェア製品のMicrosoftによる生産、および国内と外国での販売が、第'506号特許の直接および間接侵害を構成すると主張した。争点の6つのMicrosoftの製品とは、Microsoft Project、Microsoft Team Manager 97、Microsoft Schedule+、Microsoft Outlook、Microsoft Exchange Server、およびThe Microsoft Networkである。1998年4月3日に登録された命令により本法廷は、争点の6つの製品のMicrosoftによる生産および販売は直接侵害を構成しないと判断し、この問題に関してMicrosoftに有利な略式判決を認めた。1998年4月17日の命令で、本法廷はさらに、争点の製品のうち4つは実質的に非侵害の利用法をもっているので、それらの製品のMicrosoftによる生産および販売は、寄与侵害も侵害の能動的誘発も構成しえないと判断した。したがって本訴訟においては、上記の2製品のみが争点として残っている。

注2   発明者であるRajは、最初はシステム特許を出願したが拒絶された。修正においてRajは自分の出願を、方法特許のためのクレームという形にし、認められた。被告の証拠物B at 60-61参照。