原告−上訴人、IMS TECHNOLOGY, INC.

被告−交差上訴人、HAAS AUTOMATION, INC.およびGENE FRANCIS HAAS

99-1019, 99-1067

連邦巡回区合衆国上訴裁判所

206 F.3d 14222000 U.S.App.LEXIS 513954 U.S.P.Q.2DBNA1129

2000327日、決定

事前経過:    **1]バージニア州東部地区合衆国地方裁判所、Leonie M. Brinkema判事の判決からの上訴

措置:      一部維持、一部破棄、差戻し

主要用語:    ブロック、テープ・カセット、工作機械、駆動機構、インターフェース、文書説明、特許、発明、工作物、パラメーター、侵害、装置、メモリー、略式判決、対応する、表示、移動、出力、外部、信号、フロッピー・ディスク、記録、媒体、ドライブ、非侵害、可変、フォーマット、相対的位置、一連、再審査

弁護士:       原告−上訴人側: Robert P.Greenspoon弁護士、Niro, Scavone, Haller & Niro法律事務所、イリノイ州シカゴ。摘要書協力者、Raymond P.Niro, Robert A.Vitale, Jr., およびJohn C.Janka弁護士。助言者Arthur A.Gasey弁護士。

被告−交差上訴人側: Teodore A.Pianko弁護士、Christie, Parker & Hale法律事務所、カリフォルニア州パサデナ。摘要書協力者、Syed A.Hasan弁護士。

裁判官:       MAYER首席判事、MICHELおよびPLAGER巡回判事

意見者:       PLAGER

意見:           *1425

PLAGER、巡回判事

IMS Technology, Inc.(「IMS」)は、バージニア州東部地区合衆国地方裁判所の決定を上訴する。同地裁は、IMSを敗訴としHaas Automation, Inc.およびGene Francis Haas(総称して「Haas」)を勝訴とする、米国特許第4, 477, 754号(「第 '754号特許」)の非侵害の略式判決を下した。IMS Tech., Inc. v. Haas Automation, Inc., 1998 U.S.Dist. LEXIS 22817, No.98-143-A(バージニア州東部地区、1998102日)(命令)参照。IMSは上訴において、地裁はそのクレーム解釈および[**2]侵害分析において誤ったと論じる。Haasは、あるクレーム限定の地裁による解釈を交差上訴する。地裁はクレーム解釈および侵害分析において誤りを犯し、また、適切なクレーム解釈の下では、告発された装置の幾つかに関して、侵害についての重大な事実問題に関する真正な争点が残るので、本法廷は一部維持、一部破棄、そして差し戻す。

背景

IMSは第 '754号特許の譲受人である。同特許は最初は、工作機械および工作機械制御のメーカーであるHurco Companies, Inc.(「Hurco」)に譲渡された。IMSは、第 '754号特許をライセンスするために設立された、Hurcoが完全所有する子会社である。Hurco1995年に、第 '754号特許に対するその権利を譲渡した。

'754号特許は、装置クレームと方法クレーム双方を含んでおり、最初、19981016日に交付された。第 '754号特許に対応する日本国特許の出願の審査中に、従来技術が発見され、Hurcoは合衆国特許商標庁(「PTO」)で再審査手続きを開始した。再審査において、本件の争点となっている、装置クレームであるクレーム1と、方法クレームであるクレーム11が、修正なしで認められた。やはり本件の争点となっている、装置クレームであるクレーム7**3]の1つの限定が、実質的に修正された。PTO1995321日に、再審査証明書を発行した。

*1426]第 '754号特許は全体として、工作物と呼ばれる物体から材料を切り取るまたは取り除くために使われる、切断機などの工作機械の制御を説明する。争点の制御のタイプは、一連の数値的命令を含むプログラムを実行し、命令を電子的制御信号に変換する、数値的制御(「NC」)である。これらの制御信号はたとえば、x軸、y軸およびz軸に沿った工作機械の動きを制御するサーボ・モーターに与えられる。通常、工作物を支えるテーブルがx方向(左右)とy方向(前後)に動き、機械を支える軸がz方向(上下)に動く。

'754号特許でクレームされた制御の発明前に、あるプログラマーが、EIA標準RS-274-Dなどの標準部品プログラミング言語を使った、通常G−コードおよびM−コードと呼ばれる一連の標準コードから構成される、制御プログラムを作成した。通常は工作機械オペレーターではないそのプログラマーは、普通、工作機械から離れた場所で働いていた[**4]。プログラマーは、工作される物体の青写真を見て、物体の製作に必要な工作機械の一連の操作(移動や切断など)を決定し、その操作に対応するG−コードとM−コードのハンドブックを参考にして、プログラムを書いた。完成したコードはパンチされた紙テープ上に記録された。工作機械オペレーターはそのテープを工作機械に入れ、機械はプログラムのG−コードとM−コードを2進コードに変換し、それは電子的制御信号に翻訳されて実行された。コードディングのプロセスは面倒で時間がかかった。

'754号特許でクレームされた発明では、作業場での工作機械の対話型プログラミングが可能である。キーボードを使ってCRT画面に表示された重層的質問に答えることによって、工作機械オペレーター自身がプログラムを作成する。第 '754号特許第55255行、第6410行参照。一般に、このプログラムはデータ・ブロックを含んでおり、そのそれぞれが工作機械の各操作段階に対応する。工作機械オペレーターが1つの操作を選択すると、制御システムはその操作段階のために、データ・ブロック[**5]に含まれている追加パラメーターを決めるように指示する。たとえばオペレーターが「切断」操作を選択したとすると、システムは、操作の開始および終了の場所の座標など、寸法についてのパラメーターの選択を求める。

オペレーターがプログラムを作成しているとき、そのプログラムは可変メモリー(たとえばランダム・アクセス・メモリー(RAM))に記憶される。第 '754号特許の文書説明で開示された実施例では、プログラムは制御に含まれているテープ・カセットの駆動機構手段によって、恒久的にテープ・カセットに記憶することができる。同上、第64952行参照。第 '754号特許の文書説明は、プログラムが特定の記憶フォーマットで記憶されるとは指定していない。テープ・カセットに記憶されていたプログラムは、可変メモリーに読み込むことができる。同上、第65458行参照。マイクロプロセッサーは工作機械の操作を指示する制御信号を生み出すためにデータ・ブロックの情報を使って、そのプログラムを実行する。同上、第1116行〜第127行参照。

Haasは、数値的制御をする工作機械を製造し販売する企業である。告発されたHaasの制御装置も、作業場での工作機械[**6]の対話型プログラミングが可能である。Haasの幾つかの制御装置は、プログラムの記憶のためにフロッピー・ディスク・ドライブをもっている。他の装置は、ASCIIフォーマットでプログラムを記憶するため、パソコンなどの記憶装置に接続できるRS-232データ・ポートのみをもっている。Haasの制御装置は、G−コードとM−コードの作成の際に工作機械オペレーターを支援する、クイックコードおよび会話型クイックコードとして知られる、プログラミング・システムを使う。クイックコードにおいてはオペレーターは分割された画面を見る。画面の右側には、G−コードの動作の短い説明の圧縮されたリストを含むグループ・ウィンドウがある。ジョグ・ハンドルを時計回りに回すことによって、オペレーターはグループを閲覧することができる。[*1427]オペレーターは求めるグループを発見したら、ジョグ・ハンドルを反時計回りに回し、項目と呼ばれる追加の操作を見る。オペレーターが項目を選択すると、対応するG−コードがウィンドウの左側に現われる。オペレーターはG−コードを編集してパラメーター値を変更することができる。

会話型クイックコードでは、オペレーターはG−コードに対応する値を求めるために、質問をプログラムすることができる。その質問への回答が画面上にG−コードで表示されたら、オペレーターはクイックコードに関して上記のように[**7]、そのG−コードを編集する。

Haasの制御装置は、プログラムをG−コードとM−コードのフォーマットで記憶する。プログラムの実行中、Haasの制御装置は、G−コードを2進フォーマットに翻訳し、それが電子的信号に変換されて工作機械に伝えられて操作を指示する。

IMSは、Haasは少なくとも第 '754号特許の装置クレーム17を侵害しており、また、少なくとも第 '754号特許の装置クレーム17、および方法クレーム11の侵害の誘因となり寄与しているとして、Haasを提訴する。これらのクレームは以下の通りである:

1.    工作機械と工作物の相対運動を制御するためのプログラム可能なマイクロコンピューター制御装置であり、

工作機械と工作物の相対位置を表示するディジタル信号を出力として提供する表示手段、

制御プログラムと制御パラメーターを保持できる可変メモリー、

表示手段の出力およびメモリーに結合し、かかる表示手段の出力およびかかる制御パラメーターに依存する制御信号を出すためにかかる制御プログラムに基づき作動する、マイクロプロセッサー・ユニット、

かかる制御[**8]信号をマイクロプロセッサー・ユニットから適切な駆動手段に送る制御手段、

制御プログラムと制御パラメーターを外部媒体からかかる可変メモリーに送り、また、かかるメモリーの制御パラメーターの内容を外部媒体に記録するための、インターフェース手段、

かかるインターフェース手段とは独立に、外部からアクセス可能なデータ入力によってかかるメモリーに制御パラメーターをロードするためのデータ入力手段、および、

制御パラメーターを表示するための表示手段から構成され、かかる制御プログラムはその表示手段上に制御パラメーター照会を表示するために動作し、オペレーターはその照会に応答してかかるデータ入力手段によって制御パラメーターをかかるメモリーにロードすることができ、かかる装置は、データ・ブロック照会を連続的に表示し、また、データ・ブロック照会に関係したある種の制御パラメーターのかかるメモリーへのロードに応答して、前回の照会の対象であったデータ・ブロックで使用された情報に関係した追加制御パラメーター照会の別個の表示を表示する手段を含み、それによって、連続的な照会の表示および動作に関する制御パラメーターの直接のロードが、デバイスの使用がオペレーターにとって、[**9]より単純でより応答性のよいものになるように利用できる。

7.    工作機械と工作物の相対的運動を制御するためのプログラム可能なマイクロコンピューター制御装置であり、

工作機械と工作物の相対位置を表示するディジタル信号を出力として提供する表示手段、

制御プログラムと制御パラメーターを保持できる可変メモリー、

表示手段の出力およびメモリーに結合し、かかる表示手段の出力およびかかる制御パラメーターに依存する、工作機械と工作物の相対運動の速度を制御するためのプログラムされた速度信号を含む制御信号を出すために[*1428]かかる制御プログラムに基づき作動する、プロセッサー・ユニット、

かかる制御信号をプロセッサー・ユニットから適切な駆動手段に送る制御手段、

制御プログラムと制御パラメーターを外部媒体からかかる可変メモリーに送り、また、かかるメモリーの制御パラメーターの内容を外部媒体に記録するための、インターフェース手段、

かかるインターフェース手段とは独立に、外部からアクセス可能なデータ入力によってかかるメモリーに制御パラメーター[**10]をロードするための、データ入力手段、および、

かかる制御パラメーターとは独立の、外部から手動で設定できる送り速度調整手段

から構成され、かかる送り速度調整手段はかかるプロセッサー・ユニットに結合し、かかるプロセッサー・ユニットは工作機械と工作物の相対運動の速度を変えるために、かかる速度信号調整手段に依存する速度信号を再計算する。

11.   自動的かつ対話的に工作物の工作を実施する方法であり、

モード・タイプと寸法パラメーターの、データ・ブロックとしてのマイクロコンピューターのメモリーへの入力、

工作物の加工を完了するのに必要な、さらなる動作および寸法に関するデータ・ブロックのためのかかる入力段階の反復、

工作機械に、工作物のかかる工作の実行を命じるための、かかるデータ・ブロックを利用したマイクロコンピューターのプログラムの実行、

オペレーターが見て応答するための、個々のデータ・ブロックのモードと寸法パラメーターに関する複数の照会の連続的な画像への表示、および、

幾つかの個々のデータ・ブロック[**11]に関して、動作に関するデータ・ブロックのパラメーターをさらに定めるため、オペレーターが見て応答するための追加照会の連続的表示を開始し実行する、オペレーターの応答の利用、という各段階から構成される。

'754号特許、第1441行〜第1513行、第153768行、第1655行〜第178行(強調追加)。

クレーム解釈に関するHaasの申立てに対して、両当事者から長い摘要書を受け取り、クレーム解釈の争点に関する限定された審理を行った後、地裁は簡短な判決および命令を下し、その中で第 '754号特許のクレームの多くの用語を解釈した。IMS Tech., Inc. v. Haas Automation, Inc., 1998 U.S.Dist. LEXIS 22820, No.CA-97-1043-A(バージニア州東部地区、1998923日)参照。そして地裁は、1998102日に、非侵害の略式判決を求めるHaasの申立てについて審理を行った。その審理において地裁は口頭で、「データ・ブロック」という用語に関するクレーム解釈を修正した。そのクレーム解釈に基づき、地裁は非侵害の略式判決を求めるHaasの申立てを認めた。

IMSは地裁のクレーム解釈の幾つかの側面、および略式判決を求めるHaasの申立ての許可を上訴する[**12]。IMSの上訴は、「インターフェース手段」および「データ・ブロック」という2つの用語の意味に焦点を当てる。地裁は、クレーム17に見られる「インターフェース手段」の限定を、35 U.S.C.§112, P61994)に基づき手段プラス機能限定と解釈し、文書説明での対応する構造はテープ・カセットの駆動機構を含むと判断した。このクレーム解釈に基づき地裁は、Haasのフロッピー・ディスク・ドライブと第 '457号特許で開示されたテープ・カセットの駆動機構は等価な構造ではないので、Haasの制御装置は法律問題として、クレーム17を文理侵害していないと結論付けた。地裁はまた、Haasのフロッピー・ディスク・ドライブは法律問題として、等価物の法理の下で「インターフェース手段」の限定を満たしていないとも認定した。

*1429]クレーム111に見られる「データ・ブロック」という用語に関しては、地裁はその最初のクレーム解釈において、「データ・ブロック」は、第 '457号特許の文書説明に記されている特定の変数および一連の照会に限定されると述べた。略式判決の審理において地裁は、「データ・ブロック」という用語はG−コードとM−コード[**13]の使用を含まないと付け加えた。Haasの制御装置は、文書説明で開示されたものと同一の変数および一連の照会を含んでおらず、G−コードとM−コードの使用に依拠しているので、Haasは文理的にも等価物の法理の下でもクレーム11を侵害していないと地裁は結論付けた。

IMSはまた、クレーム17の範囲を「工作機械全体ではなく工作機械の制御システム」に限定した地裁のクレーム解釈も上訴した。

Haasはその交差上訴において、もし地裁の略式判決が破棄された場合、本法廷は地裁のクレーム解釈におけるその他の誤りを正すべきであると主張する。特にHaasは、クレーム17における「表示手段」の限定が、工作物と工作機械の場所を固定された変更不能な位置から測定するシステムを対象とするという地裁の結論を上訴する。Haasはまた、地裁は再審理中に修正された表現ではなく最初のクレーム表現を解釈したと主張し、クレーム7の「送り速度調整手段」の限定の地裁による解釈を上訴する。

議論

地裁の略式判決の検討において、[**14]本法廷は略式判決の基準が満たされたか否かについて、独立の判断をしなければならない。Conroy v. Reebok Int 'l, Ltd., 14 F.3d 1570, 1575, 29 U.S.P.2DBNA1373, 13771994);Vas-Cath Inc. v. Mahurkar, 935 F.2d 1555, 1560, 19 U.S.P.Q.2DBNA1111, 1114(連邦巡回、1991);C.R.Bard, Inc. v. Advanced Cardiovascular Sys., Inc., 911 F.2d 670, 673, 15 U.S.P.Q.2DBNA1540, 1542-43(連邦巡回、1990参照。本法廷は、被申立て人にとって最も有利な観点で証拠を検討し、その観点ですべての合理的な推論をする。SRI Int 'l v. Matsushita Elec.Corp., 775 F.2d 1107, 1116, 227 U.S.P.Q.BNA577, 581(連邦巡回、1985(大法廷)参照。略式判決を求める申立ては、すべての重大な事実問題に関する真正な争点がなく、申立て当事者が法律問題として判決を受ける資格がある場合に適格に認められる。Fed.R.Civ.P.56c)参照。

侵害分析は2段階を必要とする: (1)主張されているクレームの範囲と意味を判断するクレーム解釈、および、(2)デバイスまたは方法がクレームのすべての限定を具体化しているか否かを判断する、適切に解釈されたクレームと、侵害とされるデバイスまたは方法との比較である。[**15Cybor Corp. v. FAS Techs., Inc., 138 F.ed 1448, 1454, 46 U.S.P.Q.2DBNA1169, 1172(連邦巡回、1998(大法廷)参照。クレーム解釈は、本法廷が独立の検討をする法律問題である。同上、at 1456, 46 U.S.P.Q.2DBNAat 1174参照。告発されたデバイスまたは方法が、文理的にまたは等価物の法理の下でクレームを侵害しているか否かは、事実問題である。Insituform Techs., Inc. v. Cat Contracting, Inc., 161 F.3d 688, 692, 48 U.S.P.Q.2DBNA1610, 1614(連邦巡回、1998参照。したがって、非侵害の略式判決に対する上訴に関しては、本法廷は、特許権者に有利に事実に関する合理的な推定をした後に、合理的な陪審ならば侵害であると認定しえないと地裁が正しく結論付けたか否かを判断しなければならない。Voice Techs. Group, Inc. v. VMC Sys., Inc., 164 F.3d 605, 612, 49 U.S.P.Q.2DBNA1333, 1337(連邦巡回、1999参照。

35 U.S.C.§112, P61994)に基づき起草された限定付きクレームの侵害分析は、同じ2段階を含む:クレーム解釈、および、告発されたデバイスまたは方法の適切に解釈されたクレームとの比較である。手段プラス機能、または段階プラス機能の限定としてしばしば言及される[**16]§112, P6で意図された限定は、機能を行う構造、材料または行為ではなく[*1430]、行われる具体的な機能を説明する。かかる限定は、「明細書に記されている対応する構造、材料または行為およびおよびその等価物を対象とするように解釈」される。35 U.S.C.§112, P61994)。§112, P6のクレーム解釈には、クレームされる機能の特定と、明細書で開示されている対応する構造または行為の決定が含まれており、いずれも、本法廷は独立に検討する法律問題である。Chiuminatta Concrete Concepts, Inc. v. Cardinal Indus., Inc., 145 F.3d 1303, 1308, 46 U.S.P.Q.2DBNA1752, 1755-56(連邦巡回、1998参照。

§112, P6限定の文理侵害に関しては、侵害分析の第二段階は、告発されたデバイスまたは方法が、クレームに記されているものと同一の機能を行うか否かの判断から始まる。Mas-Hamilton Group v. LaGard, Inc., 156 F.3d 1206, 1211-12, 48 U.S.P.Q.2DBNA1010, 1015(連邦巡回、1998参照。同一の機能を行う場合、次の段階は、告発されたデバイス[**17]が、明細書に見られるものと同一の構造、材料もしくは行為、またはその等価物を使用しているか否かの判断である。同上、at 1212, 48 U.S.P.Q.2DBNAat 1015参照。告発されたデバイスまたは方法が§112, P6限定付きのクレームを侵害しているか否か、つまり、それが明細書に見られるものと同一の構造、材料もしくは行為、またはその等価物と同一の機能を行うか否かは、事実問題である。Odetics, Inc. v. Storage Tech.Corp., 185 F.3d 1259, 1268-69, 51 U.S.P.Q.2DBNA1225, 1230-31(連邦巡回、1999Palumo v. Don-Joy Co., 762 F.2d 969, 975, 226 U.S.P.Q.2DBNA5, 8(連邦巡回、1985)を引用し、クレーム解釈は法律問題であるとのMarkman v. Westview Instruments, Inc., 52 F.3d 967, 976-79, 34 U.S.P.Q.2DBNA1321, 1327-29(連邦巡回、1995における判断は、告発されたデバイスが§112, P6に基づく等価物であるか否かは事実問題であるとのPalumo判決における判断に影響しないと指摘)参照。したがって非侵害の略式判決を維持するには本法廷は、いかなる合理的な陪審もそれに反する認定はしえなかったと結論付けなければならない。

A.    クレーム解釈

IMSは、地裁のクレーム解釈の幾つかの側面は誤っていると論じる。[**18]本法廷は、本法廷のクレーム解釈の標準的準則を使って、各争点を順番に検討する。

1.    クレーム17の「インターフェース手段」

本法廷は、クレーム17の「外部媒体から可変メモリーへ制御プログラムと制御パラメーターを移動し、また、そのメモリーの制御パラメーターの内容を外部媒体に記録するためのインターフェース手段」という限定が§112, P6に服するという、両当事者とも異議をとなえていない地裁の裁定に同意する。[1] テープ・カセットの駆動機構を、明細書に見られる構造に対応するものと特定した点で、地裁は限定の解釈において誤りを犯したと、IMSは主張する。IMSはさらに、テープ・カセットの駆動機構が、対応する構造だとしても、告発されたHaasの制御装置におけるフロッピー・ディスク・ドライブが、開示されたテープ・カセットの駆動機構と等価ではありえないと法律問題として結論付けることによって、地裁は誤りを犯したと論じる。

**19

「インターフェース手段」の限定は、制御プログラムと制御パラメーターの可変メモリーから外部媒体への「記録」、および、制御プログラムと制御パラメーターの外部媒体から可変メモリーへの「移動」という、2つの機能を述べる。テープ・カセット周辺インターフェース・アダプター(「PIA」)が「移動」機能を行う唯一の構造なので、文書説明で開示された明細書の対応する構造はPIAであると、IMSは主張する。しかしその議論において、IMSは「記録」機能をほとんど無視し、[*1431]クレームの文脈での「移動」の意味を誤用する。

クレームされたインターフェース手段は、可変メモリーからのデータを外部媒体に記録し、外部媒体からのデータを可変メモリーへ移動する。文書説明で開示された外部媒体はテープ・カセットであり、開示された可変メモリーはRAMである。したがって、「記録」と「移動」の機能に対応する構造は、RAMに住むデータをテープ・カセットに記録し、テープ・カセットのデータをRAMに移動しなければならない。文書説明はPIAをこれらの機能に関連付けたと、[**20IMSは正しく述べる。:「PIA 77は、RAM 36にロードするのに利用されるテープ・カセットとのインターフェースとなる[ママ]。また、その後に挿入されるカセットは、記憶されたRAMプログラム・データを、PIA 77を通じて記録するのに利用される」。第 '754号特許第44648行。しかし文書説明も、テープ・カセットの駆動機構を、テープ・カセットからのデータをRAMに移動し、RAMからのデータをテープ・カセットへ記録するという機能に関連付ける:「RAMメモリーからのデータを読みそれへデータを書くために作動する磁気テープ・カセットを受け取るために、テープ・カセットの駆動機構が全体として225に示される。モード・スイッチ203がテープ自動モードにあれば、データ・ブロックの入力をテープ・カセットに記録することができる」。第 '754号特許第64952行。これら両文章に鑑みて、PIAとテープ・カセットの駆動機構双方が、テープ・カセットからのデータのRAMへの移動、およびRAMからのデータのテープ・カセットへの記録のために必要であることが明らかである。

IMSは、「移動」機能はRAMとテープ・カセットの駆動機構との間の「インターフェース」機能に過ぎないと論じる。しかしクレームは、インターフェース手段が、単にテープ・カセットの駆動機構からではなく、外部媒体自体つまりカセット・テープからRAMへ[**21]データを移動することを要求する。開示されたPIAは、「移動」機能の一部、つまりテープ・カセットの駆動機構からRAMへの移動のみを行う。テープ・カセットの駆動機構自体は、テープ・カセットからのデータをPIAへ移動するので、PIAとテープ・カセットの駆動機構双方が、インターフェース手段の「移動」機能に対応する開示された構造の一部である。

同様に、インターフェース手段は、RAMからのデータをテープ・カセットに記録しなければならない。テープ・カセットの駆動機構は、RAMからのデータをPIAを通して受け取り、データをテープ・カセットに記録することにより記録機能を完了する。PIAとテープ・カセットの駆動機構は一緒にこの機能を実行し、したがって双方が、クレームされたインターフェース手段に対応する開示された構造の一部である。

IMSはまた、クレーム1に従属するクレーム2、つまり「かかるインターフェース手段には、磁気的に記憶された情報入力からの[**22]読取りとそれへの書込みのための手段が含まれる」が、インターフェース手段に追加の限定を課しているので、クレーム差別化の法理の下では、インターフェース手段は「読取り」と「書込み」の手段に限定されえないと論じる。IMSはさらに、クレーム2に従属するクレーム3が、読取りと書込みの手段としてテープ・カセットの駆動機構を具体的にクレームしているので、「インターフェース手段」はテープ・カセットの駆動機構には限定されえないと論じる。

本法廷は、クレーム差別化の法理により、クレーム1のインターフェース手段の対応する構造が開示されたPIAに限定されることを要求されるという、IMSの主張を拒絶する。クレーム3はテープ・カセットの駆動機構のみを対象としているのに、クレーム1は§112, P6に基づきテープ・カセットの駆動機構およびその等価物を対象としているので、クレーム3の範囲は明らかに、クレーム1の範囲よりも狭い。Laitram Corp. v. Rexnord, Inc., 939 F.2d 1533, 1538, 19 U.S.P.Q.2DBNA1367, 1371(連邦巡回、1991(独立§112, P6クレームに対応する開示された構造が独立クレームに記されている場合には、クレームの差別化は維持されると判断)参照。クレーム2の範囲はまた、少なくとも、外部媒体を磁気的に記憶された情報入力に限定しているので、クレーム1の範囲よりも狭い。

*1432]さらに、適切なクレーム解釈は、IMSが主張するようには、クレーム1の「記録」およびクレーム2の「書込み」[**23]に同じ意味を与えない。むしろ、クレーム2の「読取り」と「書込み」の機能は、PIAではなく、開示されたテープ・カセットの駆動機構によって行われる、「インターフェース手段」の「移動」と「記録」の機能の一部である。いずれにしろ、クレーム1とクレーム2が、それぞれが文書説明で開示された構造に鑑みて正しく解釈された後に類似の範囲をもつことは、許容可能である。なぜなら、クレームの差別化という司法が作った法理は、§112, P6の制定法の指示に優先しないからである。同上、参照(クレームの差別化は指針であり、厳格な規則ではない)。

まとめると、本法廷は、「インターフェース手段」の限定の適切な解釈は、PIAとテープ・カセットの駆動機構、および§112, P6に基づくその等価物を含む、開示された構造を対象とすると結論付ける。IMSは、このクレーム解釈の下でも、法律問題として、Haasのフロッピー・ディスク・ドライブは、開示されたテープ・カセットの駆動機構に等価ではありえないと認定したことで、地裁は誤りを犯したと論じる。本法廷はこの問題を、本法廷の侵害分析と関連して、以下で議論する。

2.    クレーム111の「データ・ブロック」

地裁[**24]は、方法クレーム11の幾つかの段階、およびクレーム1の表示手段に現われる「データ・ブロック」という用語を、文書説明で開示された特定の変数のセット、およびそれらの変数に関する開示された一連の照会に限定されると解釈した。地裁はまた、「データ・ブロック」は適切に解釈されれば、G−コードやM−コードなど、既知の部品プログラム言語で書かれている命令を含みえず、それらを指示しえないとも判断した。地裁は「データ・ブロック」という用語を狭く解釈し過ぎたことで誤りを犯したという点で、本法廷はIMSに同意する。

用語が登場するクレーム限定は§112, P6に服するという点で両当事者は合意する。[2] しかし、「データ・ブロック」という用語自体の意味が、§112, P6に影響されるかという点では、両当事者は争う。Haasは、§112, P6は「データ・ブロック」という用語の意味を、文書で開示された変数およびそのつながりに限定するために適用されると地裁は正しく判断したと主張する。本法廷は、これは§112, P6の誤った適用であると判断する。

**25

§112, P6は、手段プラス機能項目、または段階プラス機能項目のすべての条件を、文書説明で開示されたもの、またはその等価物には限定しない。§112, P6は、クレームが機能の実施には不十分な構造または行為を記しているとき、記された機能を実施する手段または段階の解釈にのみ適用される。O.I.Corp. v. Tekmar Co., 115 F.3d 1576, 1581, 42 U.S.P.Q.2DBNA1777, 1780(連邦巡回、1997参照。クレーム1において、表示手段には、「連続的にデータ・ブロック照会を表示する手段」が含まれる。記された機能は、データ・ブロック照会の連続的表示から構成され、クレームはその機能を実行する手段を裏付ける構造を説明していない。したがって、§112, P6に基づき、手段は開示された構造、つまりCRTおよびその等価物を含むと解釈される。「データ・ブロック」は連続的表示をもたらす手段ではなく、したがって、§112, P6に基づく解釈には服さない。同上参照(「通路を通ってアナライト貨幣を通す手段」項目の中の「通路」という用語は§112, P6に服さないと判断)。同様にクレーム11においては、「データ・ブロック」という用語[**26]が登場する幾つかの限定が§112, P6に服すと想定しても、「データ・ブロック」は記された機能を実行する段階の一部ではない。したがって本法廷は、「データ・ブロック」という用語を、[*1433]§112, P6を適用せずに、本法廷の標準的クレーム解釈法に基づき解釈しなければならない。同上参照。

「データ・ブロック」という用語を解釈するのに本法廷はまず、クレームの表現、文書説明、および審査経過を見る。Zelinski v. Brunswick Corp., 185 F.3d 1311, 1315, 51 U.S.P.Q.2DBNA1590, 1592-93(連邦巡回、1999参照。プログラム可能工作機械の文脈での「データ・ブロック」の通常の意味は、工作機械が一つの工作を行うのに必要な情報を含む、コンピューター・データ構造である。Haasは、特許権者は特許において下記のような好適な実施例を説明することにより「データ・ブロック」という用語に特別の意味を与えたので、通常の意味は適用されないと主張する:「データ・ブロックを求めるCRT画面上での一連の照会は、データ・ブロック番号、機械モード、制御モード、X方向の幅、Y方向の幅、Z方向の幅、送り速度、パック速度および機械番号という順番になる」第 '754号特許第647行。しかし本法廷は、[**27]文書説明には、これが特許権者による「データ・ブロック」の特殊化された定義であると示唆する何ものも見いださない。むしろ、文書説明は好適な実施例を説明しているだけであり、「データ・ブロック」を開示された変数の列に限定することは、特定の実施例をクレーム内に不当に読み込むことになる。Comark Communications, Inc. v. Harris Corp., 156 F.3d 1182, 1186-87, 48 U.S.P.Q.2DBNA1001, 1005(連邦巡回、1998参照。

Haasはまた、第 '754号特許の審査中に出願者が行った下記の表明が、「データ・ブロック」という用語の意味を、文書説明に記されている具体的な変数と表示の列に限定すると主張する:「これらのクレームの範囲を考えるときには、明細書およびクレームで使われている「データ・ブロック」という用語に特別の注意を払うべきである」、共同出願at 319。この表明だけでは、クレームの範囲を狭めることはできない。Haasはさらに、出願者が審査官に提出したパンフレットが「データ・ブロック」という用語を、文書説明で開示された特定の変数および表示の列に限定すると主張する。この論理も実体がない。なぜなら、審査経過から、[**28]このパンフレットは好適な実施例の理解において審査官を助けることのみを意図されたことは明らかだからである。まとめると、「データ・ブロック」の通常の意味を無効とし、その意味を、文書説明において好適な実施例として開示された特定の変数と表示の列に限定することを要求するには、文書説明あるいは審査経過の何ものも十分ではないと本法廷は判断する。

Haasが提起したもう一つの問題は、第 '754号特許の審査と再審査の最中になされたその他の表明が、「データ・ブロック」を、G−コードやM−コードにはまったく依拠していないフォーマットに限定するか否かである。従来技術の文献からの区別において出願者は、クレームは、「オペレーターはデバイスのプログラムについて悩む必要はなく、単に連続的に問い掛けられ、表示装置を通じて質問に回答すればよいという新規な対話型システムに焦点を当てることを意図されている」と述べた。共同出願at 319。出願者は後の拒絶通知に応えて、さらに2つの類似の表明を行った。これらの表明は、クレームされた発明を使って部品プログラムを作るという対話的性質を伝えることを意図したもので、プログラムがクレームに基づき対話的に作られているならば、G−コードやM−コードなどの従来技術のプログラム言語[**29]の使用を拒絶はしていないとIMSは主張する。

再審査中、発明の対話型プログラム技術を強調するために、それまでの照会に対する使用者の応答に基づき使用者に追加情報の入力を促すためのネストされた照会の使用を含む、特許権者は幾つかのその他の従来技術の文献を区別した。従来技術に関するどの表明も、Haasが主張するようには、G−コードやM−コードの使用を明確には拒絶していない。再審査中のPTOへの最後の回答において、特許権者は、面倒な従来技術のプログラミング・プロセスと発明を対比した:

本発明は工作機械のG−コードやM−コードに依拠せずに、[*1434]質問と回答のフォーマットで作動する対話型表示装置を利用する。・・・データ・ブロックの対話型処理は、工作機械のオペレーターに、作業場でのプロブラマーと機械運転者双方の業務を行うことを可能にする。

共同出願at 932

文脈から考えたときのこの表明、そして審査および再審査中になされたその他の表明が、クレームされた発明におけるG−コードやM−コードの使用を否定していないという点で、本法廷はIMSに同意する。これらの表明の目的は[**30]、使用者がG−コードとM−コードを使って1行ごとにプログラムを作らなければならなかった従来技術のプログラム方法に対する改善として、発明の対話的性質を強調することであった。したがって、クレームされた発明は、G−コードやM−コードでのプログラムの作成は必要としない。しかし同時にこの発明は、クレームされた対話型照会プロセスを使って作られている限り、G−コードやM−コードのプログラムの作成を阻まない。

Haasはさらに、データ・ブロックはG−コードやM−コードのフォーマットでは記憶できないという主張の裏付けとして、文書説明はG−コードやM−コードの使用にまったく言及していないと論じる。文書説明で開示された実施例は、G−コードやM−コードのフォーマットでのデータ・ブロックの記憶を意図していないのは事実だが、クレームされた発明でのデータ・ブロックの使用は、記憶フォーマットとは独立である。クレームされた発明は、工作機械を制御するためのプログラムを対話的に作るための装置と方法である。そのプログラムはデータ・ブロックを含んでおり、この用語の通常の意味に基づけば、そのそれぞれが、工作機械が1つの工作を行うのに必要な情報を含んでいる。データ・ブロックがG−コードやM−コード、2進フォーマット、あるいはその他のフォーマットで記憶されるか否かということは、クレームされた発明にとって[**31]関係がない。

まとめると、「データ・ブロック」という用語の適切な解釈は、工作機械が1つの工作を行うのに必要な情報を含むコンピューター・データ構造であると本法廷は結論付ける。適切に解釈されれば、「データ・ブロック」は、文書説明で開示された特定の変数のセットおよび表示の列には限定されず、G−コードやM−コードの使用を阻まない。

3.    クレーム17の「制御装置」

クレーム17の序文に基づき、それらのクレームを「工作機械装置全体ではなく工作機械の制御システム」に限定した点で、地裁は誤りを犯したとIMSは主張する。地裁のクレーム解釈が、クレームされた制御関連の限定を含む工作機械装置による侵害の認定を阻んでいる限りにおいて、本法廷は、地裁は不適切にクレームを限定したという主張に同意する。

「クレームの序文は、クレーム全体が提示する意味をもつ。」Bell Communications Research, Inc. v. Vitalink Communications Corp., 55 F.3d 615, 620, 34 U.S.P.Q.2DBNA1816, 1820(連邦巡回、1995。[**32]序文がクレームの本文の限定に何も付け加えていないならば、序文自体はクレームの限定ではなく、クレームの適切な解釈には無関係である。Pitney Bowes, Inc. v. Hewlett-Packard Co., 182 F.3d 1298, 1305, 51 U.S.P.Q.2DBNA1161, 1165-66(連邦巡回、1999参照。本件はこれにあたる。序文における「制御装置」という表現は、単に、発明を完全に説明しているクレーム本文の一連の限定に名称を与えているだけである。その使用は、Haasが主張するようには、工作機械とは別個である制御装置に対するクレームを限定しない。クレームは、クレームの本文のすべての限定を含む装置によって侵害される。侵害している装置とは、クレームされた制御機能を含む工作機械装置かもしれず、あるいは工作機械装置とは別個だが連絡をもつ制御装置かもしれない。

審査経過はこの解釈と合致している。制限要求においてPTOは、クレームされた発明である工作機械制御は工作機械の一部であることを認めた。まとめると、[*1435]工作機械[**33]の制御構造ではなく工作機械の制御にクレームを向けたというクレームの出願者による選択は、クレームの範囲を、工作機械自体とは別個の制御装置に限定しない。

B.    侵害分析

適切なクレーム解釈の下で、本法廷に提起されている主要侵害問題は、告発されたHaasシステムがクレームされた「インターフェース手段」を含むか否かである。指摘したように地裁は、Haasのフロッピー・ディスク・ドライブは§112, P6または等価物の法理の下で、開示されたテープ・カセットの駆動機構と等価ではないとの結論を根拠として、クレーム17の非侵害の認定をした。

Haasのシステムが文理的にクレーム17の「インターフェース手段」を含んでいるか否かの判断には、まず、告発されたデバイスが、メモリーからのデータを外部媒体に記録し、外部媒体からのデータをメモリーに移動させるという、クレームに記されている機能と同一の機能を実行するか否かを判断しなければならない。Haasのシステムはフロッピー・ディスク・ドライブとともにこれらの機能を実行することに争いはない。Haasのシステムは、開示されたPIAおよびテープ・カセットの駆動機構と同一の構造を含んでいないので、唯一の問題は、Haasのシステムが、開示された構造の等価物である構造を含んでいるか否かである。[**34Haasが異議を唱えていない事実として、HaasのシステムにはPIAと等価なインターフェース・デバイスが含まれていると想定すると、§112, P6の下で決定を左右する問題は、Haasのシステムのフロッピー・ディスク・ドライブが、開示されたテープ・カセットの駆動機構に等価であるか否かである。

本法廷は、幾つかの機会に、§112, P6に基づく法定の等価性と、司法上の等価物の法理を比較した。たとえば、Odetics, Inc. v. Storage Tech.Corp., 185 F.3d 1259, 1267, 51 U.S.P.Q.2DBNA1225, 1229-30(連邦巡回、1999);Al-Site Corp. v. VSI Int 'l, Inc., 174 F.3d 1308, 1319-21, 50 U.S.P.Q.2DBNA1161, 1167-68(連邦巡回、1999);Chiuminatta Concrete Concepts, Inc. v. Cardinal Indus., Inc., 145 F.3d 1303, 1310, 46 U.S.P.Q.2DBNA1752, 1257-58(連邦巡回、1998);Cybor Corp. v. FAS Techs., 138 F.3d 1448, 1467, 46 U.S.P.Q.2DBNA1169, 1184(連邦巡回、1998(大法廷)(Mayer, C.J., 補足);Alpex Computer Corp. v. Nintendo Co., 102 F.3d 1214, 1222, 40 U.S.P.Q.2DBNA1667, 1673-74(連邦巡回、1996);Valmont Indus., Inc. v. Reinke Mfg.Co., 983 F.2d 1039, 1042-44, 25 U.S.P.Q.2DBNA1451, 1453-55(連邦巡回、1993参照。本法廷は、§112, P6と等価物の法理に相違があることは認めるが[**35]、幾つかの機会に、§112, P6に基づく等価性のテストと等価物の法理は、「相違の非実質性についての類似の分析」が絡む「密接な関係にある」と指摘した。Chiuminatta, 145 f.3d at 1310, 46 U.S.P.Q.2DBNAat 1757-58Warner-Jenkinson Co. v. Hiton Davis Chem.Co., 520 U.S.17, 28, 41 U.S.P.Q.2DBNA1865, 1870, 137 L.Ed.2d 146, 117 S.Ct.10401997(§112, P6の適用は「・・・等価物の法理の限定的役割での適用である」と述べる);Valmont, 983 F.2d at 1043, 25 U.S.P.Q.2DBNAat 1455(「第112条の「等価物」という用語は、変更が実質的ではない、よく知られた概念を惹起し、意味のあるものは何も加えない」)も参照。そして相違が実質的でない場合、つまり法律によって要求されるように告発されたデバイスが同一の機能を行うと判断した後で、実質的に同じ結果を達成するために実質的に同じ方法でその機能を行うか否かを判断するために、等価物の法理の、よく知られた3段階テストの縮小版が、§112, P6の文脈に適用された[**36]。Odetics, 185 F.3d at 1267, 51 U.S.P.Q.2DBNAat 1229-30参照;Dawn Equip.Co. v. Kentucky Farms Inc., 140 F.3d 1009, 1019-20, 46 U.S.P.Q.2DBNA1109, 1116(連邦巡回、1998)(Plager, J., 追加見解)(§112, P6の下で「実質的でない変更の問題を解決するため」に3段階テストの利用を示唆)も参照。告発されたデバイスの構造と開示された構造との間の、既知の交換可能性の証拠も、重要な要素とみなされてきた。Al-Site, 174 F.3d at 1316, 50 U.S.P.Q.2DBNAat 1165Chiuminatta, 145 F.3d at 1309, 46 *1436U.S.P.Q.2DBNAat 1757Graver Tank & Mfg.Co. v. Linde Air Prods.Co., 339 U.S.605, 609, 85 U.S.P.Q.2DBNA328, 331, 94 L.Ed.1097, 70 S.Ct.8541950を引用)参照。

§112, P6に基づく等価性のテストと等価物の法理の類似性に鑑みて、等価物の法理の判断においてと同様に、§112,P6の等価性分析を行う際には発明の文脈が検討されなければならない。Texas Instruments, Inc. v. ITC, 805 F.2d 1558, 1563, 231 U.S.P.Q.BNA833, 835(連邦巡回、1986(「許容される等価物の範囲が[**37]発明の程度と性質に依存することは、長く認められてきた」);Warner-Jenkinson, 520 U.S. at 40, 41 U.S.P.Q.2DBNAat 1875(等価物の法理の判断においては、「特定の特許クレームの文脈での各要素の役割の分析が、代替要素がクレームされた要素の機能、方法および結果に合致するか、あるいは代替要素がクレームされた要素と実質的に異なる役割を果たすか、という問題に役立つ」)参照。その結果、ある環境で等価な2つの構造は、別の環境では等価でないかもしれない。より具体的には、クレームされた「手段」の限定において、開示された物理的構造がクレームされた発明にとってほとんど重要でない場合、構造の物理的特徴が、クレームされた発明の文脈でクレームされた機能を実行するのに不可欠である場合よりも、等価な構造の幅は広いかもしれない。したがって、文脈から離れた物理的構造の硬直した比較は、具体的なケースでは不適切かもしれない。実際、制定法は2つの構造が等価であることを要求するが、「構造的に等価である[**38]」とは要求しない。つまり、物理的構造にのみ、あるいはそれに排他的に焦点をあてることになる等価性の比較を強制しない。[3]

クレームされた機能以外の機能の実行においてなど、2つの構造が他の文脈では等価な構造ではないとみなされる場合でも[**39]、場合によっては、発明の文脈での非実質的な相違の分析が、§112, P6の下での等価性の認定に結び付く。Odetics, 185 F.3d at 1269-71, 51 U.S.P.Q.2DBNAat 1231-32(カムとカム・フォロアーの機構をもつ「ビン列」が、力を受け取ることにより、ギア機構をもつ「回転手段」と同一の方法で回転機能を行うという証拠があったときに、侵害であるとの陪審の評決を復活);Al-Site, 174 F.3d at 1315-17, 50 U.S.P.Q.2DBNAat 1164-65(ガラスのハンガー・タグに関する「固定手段」として接着剤とリベットの既知の交換可能性に関する専門家の証言に基づき、侵害であるとの陪審の評決を維持)参照。しかし、Odetics, 185 F.3d at 1277-79, 51 U.S.P.Q.2DBNAat 1237-38Lourie, J., 反対意見)(構造ではなく機能のみ焦点をあてたとして多数意見を批判)参照。「手段」限定に対応する構造の具体的な物理的特徴が、クレームされた発明にとってより重要となるような他のケースでは、非侵害の認定がなされる。Chiuminatta, 145 F.3d at 1309-10, 46 U.S.P.Q.2DBNAat 1757(特に、当分野の技術者[**40]が、クレームされた機能の実行に対する両構造の交換可能性を認識するとの主張がなかったので、ウィールとスキッド板はコンクリート表面のサポートにとって等価ではないと認定)参照。

本件、そしてHaasのフロッピー・ディスク・ドライブが、開示されたテープ・カセットの駆動機構の§112, P6の下での等価物でありうるかという争点に戻り、本法廷は、クレームされた発明の文脈での[*1437]相違の実質性を検討する。本発明は、工作機械の対話型プログラミングができる装置に向けられる。クレームされた「インターフェース手段」の移動および記録の機能は単に、発明のプログラミングの装置とプロセスを使って作られたプログラムを記憶する方法に過ぎない。本件は、記録されたデータやデータにアクセスするための機構などのインターフェース手段の物理的特徴が、発明にとって重要であるというケースではない。IMSは、フロッピー・ディスク・ドライブとテープ・カセットの駆動機構の構造的類似性について幾つかの証拠を提示した。物理的な相違があるのは確かだが、少なくとも、クレームされた発明における「インターフェース手段」が果たす役割に鑑みてこれらの相違が実質的であるか否かという、事実問題についての争点がある。その質問に答える1つの方法は、[**41]両構造が実質的に同一の結果を達成するために、実質的に同一の方法で同一の機能を行うか否かを尋ねることである。IMSはまた、当分野の技術者であれば、クレームされた発明における移動と記憶の機能を行うための、フロッピー・ディスク・ドライブとテープ・カセットの駆動機構の交換可能性を認めるという証拠を提出した。かかる証拠は、§112, P6の等価性の判断において考慮されるべきである。

クレームされた発明の文脈でのフロッピー・ディスク・ドライブとテープ・カセットの駆動機構の相違の非実質性に関してIMSが提示した証拠に鑑みて、本法廷は、§112, P6に基づくクレーム17の文理的侵害に関して、重大な事実問題についての真正な争点が存在すると結論付ける。[4] さらに、§112, P6に基づく等価性の分析と等価物の法理の類似性のため、等価物の法理に基づくクレーム17の侵害に関しても、事実問題に関する真正な争点がある。したがって、フロッピー・ディスク・ドライブを含むHaasのシステムに関して、本法廷は、クレーム17の非侵害の略式判決を破棄し、この意見と合致したさらなる訴訟手続きのために差し戻す[**42]。差戻しの際に地裁は、すでに議論した、クレーム1の「データ・ブロック」という用語と、クレーム17の「制御装置」という用語の正しい解釈を適用するように指示される。

Haasはまた、記憶デバイス自体は含まないが、記憶デバイスへの接続のためのRS-232ポートのみを含むシステムを製造し販売する。外部媒体はないのでこれらのシステムはデータの移動および記憶という機能は行わない。したがって、HaasRS-232システムは、クレームされた「インターフェース手段」を含まず、本法廷は、これらのシステムは文理的にも等価物の法理の下でもクレーム17を直接侵害していないとの地裁の略式判決を維持する。しかしこの判断は、たとえばHaasの顧客がHaasのシステムを外部記憶デバイスに接続する場合に、Haasが侵害を誘導している、あるいは寄与侵害をしているとの認定を阻まない[**43]。したがって、RS-232システムに関して本法廷は、クレーム17の侵害の誘導および寄与侵害に対するHaasの責任に関しての略式判決を破棄し、この意見と合致したさらなる訴訟手続きのために差し戻す。

最後に、クレーム11において争われている唯一のクレーム表現は「データ・ブロック」であり、すでに説明したように地裁はそれを誤って解釈した。地裁は、「データ・ブロック」という用語の誤った解釈に基づきクレーム11の非侵害の略式判決を下したので、本法廷は、クレーム11に関する文理侵害および等価物の法理に基づく侵害を否定した略式判決を破棄する。

C.    Haasの交差上訴

本法廷は地裁の略式判決を破棄したので、本法廷は次に、[*1438]クレーム解釈に関するHaasの交差上訴を扱う。Haasは、地裁は「工作機械と工作物の相対的位置を示す出力ディジタル信号を出すための表示手段」という限定を誤って解釈したと主張する。地裁は、このクレーム限定は[**44]§112, P6に服すると、正しく結論付けた。クレームされた機能は、工作機械と工作物の相対的位置を示す出力信号を出しており、文書説明における対応する構造は、各軸方向の動きに対するハードウェア回路機構、つまり図4に示されているエンコーダーと上下動カウンターである。両当事者間の争点は、「工作機械と工作物の相対的位置を示す」という表現の意味についてである。Haasは、固定点から測定された絶対的位置を出力する信号は、クレームの意味における相対的位置を示す信号ではありえないと主張する。地裁は、Haasの提示するクレーム解釈を拒否し、固定点からのそれぞれの距離を示すことによって工作機械と工作物の間の距離を間接的に測定する指示器は、実際には「相対的位置」を示すと判断した。

文書説明は地裁の解釈を支持する。開示された実施例において工作機械のオペレーターは、工作物を含むテーブルを望む位置に動かしボタンを押すことによって「テーブル・ゼロ」の位置を定める。この時点で[**45]マイクロプロセッサー・ソフトウェアはx軸とy軸に対応するカウンターのディジタル出力を読み、ゼロ基準点としてその出力を記録する。カウンターの出力自体は任意の8ビット・ワードであり、物理的にゼロにリセットはされない。同様にオペレーターは、スピンドルを希望するゼロ基準点にまで下げてボタンを押すことにより、「工作機械較正」手続きを行うことができる。その時点で、マイクロプロセッサー・ソフトウェアはz軸カウンターのディジタル出力をゼロ基準点として記憶する。工作機械が工作を行うと、エンコーダーは工作物のx軸とy軸方向の動き、そして工作機械のz軸方向の動きを検知して「クリック」を出力する。カウンターはプラス方向とマイナス方向のクリックの数をカウントし、クリック数を表わすディジタル信号を出力する。マイクロプロセッサーは定められた時間間隔で、カウンターの出力とゼロ基準点として記憶されていた位置を比較することによって、工作機械と工作物の実際の位置を計算する。

カウンターのディジタル信号の出力は、工作機械と工作物がゼロ基準点から動いた距離と方向を表わしており[**46]、したがって工作機械と工作物の間の相対的位置を定めるのに使えるので、「工作機械と工作物の相対的位置を示す」。つまり文書説明に鑑みて、「相対的位置を示す」は単に、信号が工作機械と工作物の間の相対的位置を定めるのに使えることを意味する。工作機械が工作物のすぐ上にあるときにオペレーターが「テーブル・ゼロ」操作を行う、つまりゼロ基準点を定めるために工作物を使うのは普通のことかもしれないが、カウンターからのディジタル信号の何ものも、Haasが誤って述べたようには、工作物に対する工作機械の位置を直接反映していない。カウンターの出力は、工作機械と工作物がゼロ基準点にあったときに読まれたカウンターの値と比較してのみ、相対的にしろ何にしろ、位置を決定するために使うことができる。同様に、Haasのシステムでのような、固定点に対する工作機械と工作物の絶対的位置を表わす信号は、固定基準点と比較してのみ意味がある。クレームあるいは文書説明内の何ものも、固定基準点から工作機械や工作物への距離を直接示す信号が[**47]、「工作機械と工作物の相対的位置を示す」信号であることを禁じない。

本法廷は、IMSが[*1439]第 '754号特許の再審査中、幾つかの従来技術の文献の適切さを説明する際に、絶対的位置付けシステムを放棄したというHaasの主張には納得しない。特許権者は、Eaton文献、米国特許第3, 821, 525号が、位置を表示するセンサーを開示しており、日本の公開特許公報が、絶対的位置を記憶する位置レジスターを開示していると述べたが、特許権者はこれらの構造を、第 '754号特許で開示された構造と区別はしなかった。実際、いずれの公報でも、第 '754号特許の開示された実施例でのようなオペレーターが定める固定点ではなく、Haasのシステムのように工作機械が定める固定点に対する位置が測定されることは明確ではない。どちらの公報も、「絶対的」位置付けを、「加算的」つまり「相対的」位置付けと区別するが、これらの用語は、連続的な操作命令を入力するための基準点に言及しているようである。「絶対的」位置は固定基準点からの座標として入力され、[**48]「加算的」位置は、直前の操作後の位置に対する座標として入力される。特許権者の表明の曖昧さ、および公報で実際に開示されている対象物に鑑みて、本法廷は、特許権者が再審査中に明確に絶対的位置付けシステムを否認したとは言えない。York Prods., Inc. v. Central Tractor Farm & Family Ctr., 99 F.3d 1568, 1575, 40 U.S.P.Q.2DBNA1619, 1624(連邦巡回、1996(「審査官による拒絶を回避するためにクレーム表現を変更しない限り、特許出願者は、クレーム対象を明確に否認することによってのみ、審査中にクレームを限定する」)。

Haasはまた、クレーム7の「送り速度調整手段」の地裁による解釈を上訴する。そのクレーム解釈命令において地裁は、再審査で修正されたクレームからではなく最初に交付されたままのクレーム7の表現を引用したが、地裁はこのクレーム限定を正しく解釈した。「送り速度調整手段」のクレームされた機能は、オペレーターに、メモリー内の制御パラメーターとは独立に送り速度を手動で調整することを可能にする。「再計算」機能は「送り速度調整手段[**49]」ではなくプロセッサー・ユニットによって行われるので、§112, P6に基づく解釈には服さない。したがって、再計算機能に対応する構造を特定すること、あるいは再計算の方法を議論することは不必要である。「再計算」という用語はその通常の意味をもつ。

要約

本法廷は、地裁はクレーム解釈に関して幾つかの誤りを犯したと判断する。第一に、適切なクレーム解釈の下では、クレーム17の「インターフェース手段」は、PIAおよびテープ・カセットの駆動機構、ならびに§112, P6に基づくその等価物を含め、文書説明で開示された対応する構造を含むと解釈されるべきである。次に、クレーム111の「データ・ブロック」という用語の適切な解釈は、工作機械が単一の工作を行うのに必要な情報を含む、コンピューター・データ構造である。適切に解釈されれば、「データ・ブロック」は、文書説明で開示された特定の変数のセットおよび一連の表示には限定されず、G−コードやM−コードの使用を禁じない。最後に、クレーム17の「制御装置」という用語の使用は、[**50]制御システムを含む工作機械装置によるそれらのクレームの侵害を否定しない。差戻しにおいては、地裁は、これらの用語の上記の解釈を適用するように指示される。

適切なクレーム解釈に鑑みて、フロッピー・ディスク・ドライブが、開示されたテープ・カセットの駆動機構の等価物であるか否かという、重大な事実問題についての真正な争点が存在する。したがって本法廷は、フロッピー・ディスク・ドライブを含むHaasシステムに対する、地裁によるクレーム17の非侵害の略式判決を破棄し、この意見に合致したさらなる司法手続きのために差し戻す。

本法廷は、RS-232ポートのみを含むHaasのシステムは、文理的にも等価物の法理の下でもクレーム17を直接侵害していないとの略式判決を維持する。しかし[*1440]本法廷の判断は、Haasが侵害を誘導したまたは寄与侵害をしたとの認定を禁じない。したがってRS-232システムに関しては、本法廷は、クレーム17の侵害の誘導および寄与侵害に対するHaasの責任に関する略式判決を破棄し、この意見に合致したさらなる司法手続きのために差し戻す。

地裁は「データ・ブロック」という用語の解釈において誤りを犯したので、本法廷はクレーム11の非侵害の[**51]地裁による略式判決を破棄し、この意見に合致したさらなる司法手続きのために差し戻す。

最後に、本法廷は、Haasの交差上訴で提起されたクレーム解釈問題に関する地裁の決定を維持する。

結論

地裁の決定は、一部維持、一部破棄され、本件はこの意見に合致したさらなる司法手続きのために差し戻される。

一部維持、一部破棄、差戻し

法廷費用

各当事者が自身の費用を負担する。



[1]    「手段」という用語が限定で使われていることは、必ずしも、その限定が適切な§112, P6限定であることを意味しない。たとえば、York Prod., Inc. v. Central Tractor Farm & Family Ctr., 99 F.3d 1568, 1574, 40 U.S.P.Q.2DBNA1619, 1623(連邦巡回、1996参照。

[2]    クレーム11が§112, P6に服する限定を含んでいるとの両当事者の主張が正しいか否かを判断することは、本法廷にとって不必要であり、したがって本法廷はその結論に対する意見を提示しない。

[3]    「等価構造」と「構造的な等価物」との相違は、故Rich判事から借用した簡単な例で説明することができる:あるクレームが、部分A、部分B、および「部分Aと部分Bを定められた関係に固定する手段」を含んでいる。文書説明は、部分Aと部分Bは木製であり釘によって固定されると開示している。発明の目的においては、部分Aと部分Bがどのように固定されているかは問題ではない。釘は発明の重要部分ではない。ネジは釘ではなく、釘の「構造的な等価物」ではない。しかし§112, P6の目的では、ネジはこの発明の文脈での等価構造である。

[4]    フロッピー・ディスク・ドライブとテープ・カセットの駆動機構が文理的に同一の構造でないとしても、§112, P6に基づく特許法の等価構造による違反は、文理侵害とみなされる。