Shetland Times Ltd. v. Dr. Jonathan Wills and Another
-ウェブサイト上の新聞記事ヘッドライン(主要項目)によるリンクに関した英国の判例-

富士通株式会社

システム技術統括部 櫻本 直子

三菱電機株式会社

知的財産渉外部 志馬 康紀

当事者

原告: Shetland Times Ltd.
被告: Dr. Jonathan Wills (他1名)
裁判所

英国民事上級裁判所 第一審部

判決日

1996年10月24日

関連法令(条文)

英国著作権法
Section 7 (1)
-"Cable Program" / "Cable Program Service"-
Section 7 (2)
-Exception of "Cable Program Service"-
Section 17
- Infringing of Copying by Copyright -
Section 20
- Infringement by broadcasting or inclusion in a Cable Program Service -
判 決

被告の行為に対する、原告の仮差止請求を認容。


<<資料目次>>

【事実及び理由】
1.請求の趣旨
2.事案の概要
争いのない事実
争点
争点に関する当事者の主張
3.判断
「有線番組」の著作権侵害について
ヘッドラインの著作権侵害について
著作権侵害と仮差し止めについて
【私見】

【事実及び理由】

1.請求の趣旨

原告は、被告の行為が原告の著作権を侵害することの確認と、被告の行為に対する仮差止命令を求める。

2.事案の概要

原告は "The Shetland Times"という新聞を発行し、そのウェブサイトを設立した。ユーザ―はウェブサイト上のフロントページに載せられた新聞記事のヘッドライン(記事の主要項目)をクリックすることで、関連する記事本文にアクセスすることができる。
新聞記事のヘッドラインは8語程度から構成され、その一例は「審議会が資金提供‘失敗’後、センター救済の為に入札 (Bid to save centre after council funding ‘cock up’)」である。記事にアクセスすると、ウェブサイトに関するユーザーからのコメントや提案の送付先(ウェブマスターと原告)が提示される。原告のフロントページには、原告が募集した広告が掲載されている。
被告は“The Shetland News"と呼ばれるニュース報道サービスを提供し、そのウェブサイトを設立した。被告のウェブサイトのフロント・ページには被告による広告とニュース・ヘッドラインとが掲載された。被告は1996年10月14日以降、そのヘッドラインのうちの幾つかに原告のヘッドラインのそのままの複製を含めた。
ユーザーは被告のウェブサイト上の複製ヘッドラインをクリックすることで、原告のフロント・ページとそこに掲載された広告とを迂回して、原告のウェブサイトに掲載された関連記事に直接アクセスすることができる。
[争いのない事実]
<新聞記事本文の著作権>
被告は、原告の "The Shetland Times"の印刷版及びウェブサイトに転載された記事の本文に著作権がある点については、争わなかった。

[争 点]

3.判断

  1. (一). 「有線番組」の著作権侵害について
    ・ 原告の提供するサービスは情報の送信を伴い、この送信行為は原告が行ったものである。
    ・ 原告によるサービス提供の本質はニュースその他の記事の配布であり、ユーザーがコメントや提案などを送信できるからといって7条(2)(a)項の適用除外である「相互作用的サービス」に該当するとはいえない。
    ・ 従って、原告のウェブサイトで提供されているヘッドラインを被告がそのウェブサイトに編入したことは、保護されている「有線番組」を「有線番組サービス」に含めたことになるから、20条による著作権侵害が成立する。

    (二) ヘッドラインの著作権侵害について
    ・ ヘッドラインが言語の著作物であり得ることは、一般に容認されている
    ・ 場合によっては、ヘッドラインについて17条の侵害があったと論ずる余地があるといえる。

    (三)   著作権侵害と仮差し止めについて
    ・ 原告は、「有線番組」について、20条の著作権侵害を構成する一応有利な事件を有する。
    ・ 現在のところ原告が損害を被ったとはいえないが将来の損害の可能性はある。従って、便宜の比較衡量は仮差し止め命令発布に有利である。本審は、仮差止め命令を発布する。

【私見】

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