連邦地方裁判所

              カリフォルニア州中央地区

                  南部支所

原告 LESLIE A.KELLY、他    

      対

被告 ARRIBA SOFT CORP. 、他

事件番号: SA CV 99-560 GLT[JW]

部分的略式判決を求める交差申立に関する決定

この先例がないと思われる事件について、当裁判所は他人が著作権を有する映像(image)

のインタ−ネットの「視覚サ−チ・エンジン(visual search engine)」による使用が、一

応著作権侵害であると判示するが、それは「公正使用」の法理によって正当化されるもの

であるかもしれない。当裁判所は、本件の特殊な事情の下では、「公正使用」の法理が適

用され、デジタル・ミレニアム著作権法(Degital Millennium Copyright Act) の違反は

ないと認定する。

原告の第一および第二救済の請求に関する部分的略式判決を求める被告の申立は、これを

認める。部分的略式判決を求める原告の申立は棄却する

I 。背景

被告 Ditto(旧名 Arriba )はインタ−ネット上で「視覚サ−チ・エンジン」を運営して

いる。他のインタ−ネット・サ−チ・エンジンと同様、それはユ−ザ−が入れた(enter)

検索の質問(search query) に応じて、関係ウエブ・コンテンツのリストをユ−ザ−が入

手できるようにしている。他のインタ−ネット・サ−チ・エンジンとは異なり、被告のサ

−チ・エンジンは記述的本文(text)の代わりに映像を検出する。それは、ユ−ザ−の質問

に関係する縮小した「サムネイル(thumbnail) [親指の爪]」画像(picture) を列挙する。

本件において関連性のある出来事のほとんどが起こった期間中、被告の視覚サ−チ・エン

ジンは Arriba Vista 映像サ−チャ−と呼ばれた。希望するサムネイルを「クリック」す

れば、Arriba Vistaユ−ザ−は「映像の属性(attributes)」ウインドウを見ることができ

                                       

る。そのウインドウは映像の普通サイズ版、その寸法の記述、およびそれが最初に現れた

ウエブ・サイトのアドレスをディスプレ−する。[注 1] ユ−ザ−はそのアドレスをクリ

ックして、原(originating) ウエブ・サイトにリンクし、映像を見ることができる。  

[注 2]

Ditto のサ−チ・エンジン(その版の双方ともに)は、約200 万のサムネイル映像の索引

をつけたデ−タベ−スを維持することによって作用する。これらのサムネイルは Dittoの

「クロ−ラ−(crawler) 」の操作によって得られる。それはコンピュ−タ・プログラムで

あって、サムネイル映像に変換され索引に追加されるべき映像を求めて、ウエブの中を移

動するものである。[注 3] Ditto の従業員は最終的なふるい分けをして、最も関連性の

高いサムネイルに順位をつけ、不適切な映像を削除する。

原告 Kellyは写真家で、カリフォルニア州のゴ−ルド・ラッシュ地方の写真を専門とし、

ロ−ラ・インガルス・ワイルダ−の作品にも関係している。彼は写真を独立に売らないで、

彼の写真は幾冊かの書籍に載った。原告はまたウエブ・サイトを2つもっていて、その1

つ(www.goldrush1849.com)はカリフォルニア州のゴールド・ラッシュ地方の「バ−チャル

旅行」を提供し、その主題についての原告の著書の販売促進をしている。もう1つの  

(www.showmethegold.com) はカリフォルニア州のゴ−ルド・ラッシュ地方の集合的別荘地

を売り出している。

1999年1月、原告の映像の 35 ほどが、 Dittoクロ−ラ−によって索引をつけられ、被告

の映像デ−タベ−スに入れられた。その結果、これらの映像はサムネイルの形で、被告の

視覚サ−チ・エンジンのユ−ザ−が利用できるようになった。

原告の異議の通知を受けて、Ditto はそれらの映像をデ−タベ−スから除去した。もっと

も、さまざまな技術的問題のために映像のいくつかは数回再び現れた。その間原告は、1

月に著作権侵害の通知を被告に送り、4月に本訴訟を提起した。原告は、その映像に対す

る原告の著作権が被告の行為によって侵害されたと主張し、また原告の映像に関係のある

著作権管理情報を除去または変更することによって、被告はデジタル・ミレニアム著作権

法(DMCA)に違反したと述べる。[注 4]

U。議論

略式判決を求めるこれらの交差申立は、先例のない2つの問題を提起する。第一は、イン

タ−ネット上に「視覚サ−チ・エンジン」によって著作権のある映像をディスプレ−する

    

ことが、著作権法上の公正使用と成るかどうかである。第二は、その著作権管理情報なし

に、映像をディスプレ−することが、デジタル・ミレニアム著作権法の違反になるかどう

かである。

略式判決が適正であるのは、真正な事実の争点がなく、申立当事者が法律問題として勝訴

判決を受ける権利がある場合である。連邦民事訴訟手続規則 56(c)。重要な沿革的事実に

争いのない場合、「公正使用」の争点について引出されるべき最終的結論は、陪審ではな

く裁判所が決すべきものである。Harper & Row, Publishers, Inc. v. Nation          

Enterprises, 471 U.S. 539 (1985); Fisher v. Dees, 794 F.2d 432, 436 (9th Cir.  

1986) 。

A 。公正使用

著作権侵害を証明するために、原告は有効な著作権の所有、および著作権者の排他的権利

のいずれかの侵害を証明しなければならない。17 U.S.C. §106 。被告は原告の著作権の

有効性も、彼がそれを所有することも争っていない。被告はまた、許可なく原告の映像を

サムネイルの形で複製し、ディスプレ−したことも争っていない。原告はこのように、公

正使用の法理の適用がない限り、著作権侵害の一応有利な事件を証明した。

「公正使用」は、「著作権のある著作物を複製物の形で複製する」著作権者の排他的権利

に対する制限である。17 U.S.C. §106(1)。それは 17 U.S.C.§107 に成文化されている。

その規定は:

   第106 条および第106 条のA の規定にかかわらず、批評、解説、ニュ−ス報道、授

   業(教室における使用のための多数の複製を含む)、研究、調査等を目的とする著

   作権のある著作物の公正使用(複製物またはレコ−ドへの複製その他第106 条に明

   記する手段による公正使用を含む。)は、著作権侵害とならない。特定の場合に著

   作物の使用が公正使用となるかどうかを判定する場合には、以下の要因を考慮する。

   (1) 使用の目的および性格(使用が商業性を有するかどうか、または非営利の教 

     育を目的とするかどうかの別を含む。)

   (2) 著作権のある著作物の性質

   (3) 著作権のある著作物全体との関連における使用された部分の量および実質性

   (4) 著作権のある著作物の潜在的市場または価格に対する使用の影響

   前記のすべての要因を考慮して公正使用の事実認定が行われる場合には、著作物

                                       

   が未発行であるという事実自体は、そのような事実認定を妨げない。

公正使用は積極的抗弁であって、被告はその争点に関する立証責任を負う。American

Geophysical Union v. Texaco Inc., 60 F.3d 913, 918 (2d Cir.1995); Columbia   

Pictures Ind. v. Miramax Films Corp., 11 F.Supp.2d 1179 1187 (C.D.Cal.1998)   

(「公正使用は積極的抗弁であるから、被告はその要因全部について立証責任を負う」)。

要因の分析に基づいて、当裁判所は本件には公正使用があると認定する。

1 。使用の目的および性格

第一要因は使用の性格を考察する。これにはその使用が商業的であるか、または教育的で

あるかどうかが含まれる。しかし、これでその検討は終わらない。「目的および性格」は

また次の評価をも含む。すなわち、「新しい著作物が、単に原創作物の目的物に取って代

わるだけか、それともそうしないで、新しいものを加え、更なる目的または異なる性格を

付加して、新しい表現、意味、またはメッセ−ジをもって最初の著作物を変更するかどう

かである。換言すれば、新しい著作物が変容的であるか、かつどの程度まで変容的である

かを問うのである。」Campbell v. Acuff-Rose Music, 510 U.S.569, 579 (1994) (引用

省略)。「新しい著作物が変容的であればあるほど、商業性のような他の要因で、公正使

用の認定に否定的なものの重要性は、それだけ少なくなる。」 同上 at 579。

被告が、商業的目的でそのウエブ・サイトを運営していることについては争いはない。し

かし、原告の映像は、その商業性の重要な要素を表すものではなかったし、また特殊なや

り方で利用されてもいない。「[ 注 5] それらは、被告の一般的に無差別な映像収集方法

の結果複製されたのである。被告は、そのサ−チ・エンジンのユ−ザ−に、より完全な結

果を提供できるように、包括的なサムネイルの索引の開発に商業的関心を有している。

Ditto クロ−ラ−は、許可を求めずに無数の出所から多数の映像を入手するように作られ

ている。[注 6] 原告の映像は、これらの方法の結果、索引がつけられた。本件での使用

は商業的ではあったけれども、それはまた「商業的使用」の、もっと伝統的なタイプより

は幾分もっと偶発的で、利用的性質がより少ないものである。[注 7]

被告に有利な最も重要な要因は、原告の映像の被告による使用の変容的性質である。被告

の使用は、映像が最初に作られた用途とは大いに異なっている。原告の写真は、挿絵の目

的に用いられる芸術的著作物である。被告の視覚サ−チ・エンジンは、インタ−ネット上

の映像をカタログ化し、それへのアクセスを改良するように作られている。合同申合わせ、

パラグラフ 27-29, 32。サムネイル索引の性質は美的なものではなく、機能的なものであ

る。その目的は芸術的あることではなく包括的であることである。

程度はそれ程ではないが、Arriba Vista属性ペ−ジ(attribute page)も、ユ−ザ−が映像

に関してもっと詳細に知ることができるようにすることによって、この目的に役立ってい

る。しかし、その映像属性ペ−ジは他の問題も引起こす。それは、ユ−ザ−が原ウエブ・

ペ−ジの他の部分を必ずしも見ることなく、普通サイズの映像を見る(かつ、ダウンロ−

ドすることもあるかもしれない)ことができるようにした。同時に、そのペ−ジは、ユ−

ザ−のためにインタ−ネットのコンテンツを発見し、組立てるというサ−チ・エンジンの

目的には、それほど明瞭に結付いてはいない。サ−チ・エンジンの旧版に映像属性ペ−ジ

が入っていたことは、サ−チ・エンジンの変容的効果を幾分減殺する。しかし、この種の

新しい企画における使用の目的と性格を考慮する時、その目的を達成する初期の不完全な

手段よりはむしろ、その変容的目的を考慮する方がもっと適切である。当裁判所は、被告

の使用の目的と性格は、全体として重大に変容的であったと認定する。

当裁判所は、第1要因は公正使用に有利に傾くと認定する。

2 。著作権のある著作物の性質

第107 条の第2要因は、「著作物によっては、他のものに比して著作権保護の意図の核心

にもっと近いものがあって、その結果、前の著作物が複製された時に、公正使用はもっと

立証困難となること」を認める。Campbell, 前出  510 U.S. at 586 。原告の写真のよう

な芸術的著作物はその核心の一部分である。当裁判所は、第2要因は公正使用に不利に傾

くと認定する。

3 。使用された部分の分量および実質性

公正使用の第3要因は、複製された分量が「複製行為の目的との関係で合理的」であった

かどうかを評価する。同上。その分析の焦点が当てられるのは、「行われた特定の複製行

為に対する[複製者]の弁明の説得性にあって、その検討は同法の第1要因に立ち戻る。

何故なら … 許される複製行為の限度は、使用の目的と性格によって異なるからであ 

る。」同上 at 586-87。

サムネイル索引の中で、被告は原告の映像をそっくりそのまま用いたが、サイズを縮小

                                       

した。被告の主張では、ユ−ザ−がそれを認識していると確信できるために、映像全体を

複製することが視覚サ−チ・エンジンには必要であり、縮小と分解は、そうしなければ複

製行為から生ずるであろう損害を軽減する、というのである。被告がその意見書で例示し

たように、サムネイルは使用できる映像にまで拡大できない。P & A 被告メモ at 3 。部

分的映像またはもっと縮小した映像の使用では、ユ−ザ−が映像を確認することが困難に

なり、インタ−ネット資源を分類し、そのアクセスを改善する手段としての、被告のサ−

チ・エンジンの有用性を減殺することになろう。

第1要因におけるように、Arriba Vista映像属性ペ−ジはもっと大きな問題を提示する。

何故なら、それは最初のウエブ・ペ−ジの周辺のコンテンツから分離された、普通サイズ

の映像をディスプレ−したからである。映像の属性(例えば、原サイトの寸法およびアド

レスなど)は、普通サイズの映像を再生しなくてもディスプレ−できたであろうし、映像

全体のディスプレ−は、サ−チ・エンジンの主たる目的には必要ではなかった。    

[注 8]

もしもサムネイル索引だけが争われているとすれば、被告の複製行為は、その用途に照ら

して、合理的なものとなる蓋然性がある。しかし、映像属性ペ−ジは、サ−チ・エンジン

との関連がもっと離れている。当裁判所は第3要因は公正使用には些か不利に傾くと認定

する。

4 。使用が潜在的市場または価格に及ぼす影響

第4要因の調査は、被告の使用の直接的影響を検討し、同時に「被告による無制限で広範

なこの種の行為が … 原著作物の売行き見込みに及ぼす実質的に不利な影響となるであ

ろうかどうかを考察する。」Campbell, 前出、U.S. at 590 (引用省略)。

関係のある市場は、原告のウエブ・サイト全体である。写真は、原告のウエブ・サイトで

売られている製品(これには原告の著書と、団体パック旅行が含まれる)を販売促進し、

ユ−ザ−を引き寄せて、そのウエブ・サイトに掲載されたもっと他の広告を見せるために

用いられている。第4要因は、特定の写真の売行き見込みだけではなくて、その「価値」

も取り上げる。原告にとってのその写真の価値は、写真の販売促進目的が害されるならば、

不利な影響を受ける可能性があり得るであろう。

被告の主張では、否定的になり得る影響はない。何故なら、そのサ−チ・エンジンは

                                      

原告のウエブ・サイトとは競合せず、実際に原告のサイトへアクセスするユ−ザ−の数を

増しているからだ、という。

原告は、自分のさまざまな製品の売行きが害されたと主張する。被告の行為から、一部の

ユ−ザ−が原告の映像を被告のサイトから不正に複製して使用したかもしれない可能性を

生じた。被告のサ−チ・エンジンはまた、ユ−ザ−が検出された映像を含むペ−ジに、直

接「ディ−プ・リンク(deep link) 」できるようにし、それによって原ウエブ・サイトの

「第一面」を回避させる。その結果、ユ−ザ−はウエブ・サイト上の広告をすべて見たり、

そのウエブ・サイトの販売促進のメッセ−ジを見る蓋然性を減らすことになろう。しかし

原告は、損害の証拠も不利な影響の証拠も提出していない。

原告のウエブ・サイトへの交信(traffic) または原告の商売への影響についての証拠がな

いので、当裁判所は原告に対する売行きの損害を認定できない。被告は、売行きの損害の

なかったことを立証する傾向のある証拠を提出することによって、立証責任を果たし、原

告はその証拠を打ち砕かなかった。当裁判所は、第4要因は公正使用に有利に傾くと認定

する。

5 。結論--公正使用

当裁判所は、4要因のうち2つは公正使用に有利に、2つは不利に傾くと認める。第1と

第4要因(使用の性格と売行きの損害のないこと)は、公正使用に認定に有利に傾く。何

故なら、サ−チ・エンジンの重要性は確立しており、映像の縮小版を使って、映像へのア

クセスを組織化して提供する「変容的」性質があるためである。第2および第3要因(著

作物の創造的性質と複製行為の分量と実質性)は、公正使用に不利に傾く。

公正使用基準の第1要因は、本件には最も重要である。被告は原告の著作物を自分のもの

と主張したことはなく、特定的に原告の著作物を直接目標とした行為を行ってもいない。

原告の映像は、インタ−ネット上で見ることができる 200万の他の映像と一緒に、ユ−ザ

−にインタ−ネット上で映像を見出だす、もっとよい方法を与える被告の努力の一部とし

て、一掃されたのである。被告の目的は本来的に変容的であったし、また現在もそうであ

る。たとえその目的の実現が、時には不完全であったとしてもである。本件におけるよう

に、新しい使用と新しい技術が発展中である場合、使用の広範な変容的目的は、発展の初

期段階における避けがたい欠陥よりも、もっと重要性が高い。            

当裁判所は、第107 条の要因をすべてまとめて衡量した。当裁判所は、被告の行為は原告

の映像の公正使用を構成すると認定する。公正使用の問題について未解決の、重要な事実

の正式審理すべき争点はない。略式判決は妥当である。著作権侵害請求について、被告の

申立を認め、原告の申立を棄却する。

B 。デジタル・ミレニアム著作権法

1998年10月28日制定されたデジタル・ミレニアム著作権法 (DMCA) は、それに先立つ2つ

の世界知的財産権機構(World Intellectual Property Organization)の条約を実施するも

のである。DMCA 1202 条は、「著作権管理情報」の完全性に適用される。[注 9]      

1202(a) 条は、著作権侵害幇助の意図をもつ著作権管理情報の変偽造を禁止する。     

1202(b) 条は、無断で著作権管理情報を故意に除去または変更する、いくつかの形態を禁

止する。[注 10] 1203条はこれらの規定の違反に対する連邦民事訴権を創始する。

原告の主張は、周辺の本文中にある標準的著作権表示から成立っている、対応する著作権

管理情報をディスプレ−することなく、原告の映像のサムネイルをディスプレ−すること

によって、被告は1202(b) 条に違反した、というものである。合同事実の申合わせ、パラ

グラフ 64-69。その表示が映像自体に現れていないから、Ditto クロ−ラ−は、その映像

に索引をつけた時、それを含めなかった。[注 11] 同上、パラグラフ 70 。その結果、

映像は著作権管理情報なしに被告の索引に現れ、被告のウエブ・サイトを用いて原告の映

像を検索しているいかなるユ−ザ−も、著作権管理情報を見ることはなかったであろう。

1202(b)(1)条は、本件には適用がない。同法の文言と構成に基づき、当裁判所はこの規定

が、原告の製品または原著作物上の著作権管理情報の除去に対してのみ適用がある、と判

断する。その上、たとえ1202(b)(1)条の適用があったとしても、被告の行為が、Ditto ク

ロ−ラ−の意図されない付随的な効果というよりはむしろ、意図的であったことを証明す

る証拠を、原告は提出していない。            

本件争点は、原告の著作物の複製物に著作権管理情報がない場合であって、適用される規

定は、1202(b)(3)条である。同条の違反を証明するためには、原告は被告がサムネイルと

普通サイズの映像で、著作権管理情報から切離された原告の著作物の複製物を、ユ−ザ−

に利用させたことを証明しなければならない。たとえ被告はそれが原告の著作権の侵害に

なると知り、または知るべきであるとしても、そうである。Ditto クロ−ラ−が原告の映

像を、その著作権管理情報がある原告のウエブ・サイトの前後関係(context) から移して、

被告の索引中のサムネイルに変換したことに争いはない。また Arriba Vista サ−チ・ 

エンジンが、著作権管理情報なく、普通サイズの映像を見ることができるようにしたこと

にも、争いはない。

被告のユ−ザ−は、サムネイルをクリックすれば、サムネイルになった映像の普通サイズ

版を見ることができた。これをした人は、被告がその映像を入手したウエブ・サイトの名

前を知らされ、そのウエブ・サイトで関連する著作権管理情報を知ることができ、そこへ

リンクする機会も得られたであろう。[注 12] ユ−ザ−はまた、被告のウエブ・サイト

で、使用制限および著作権の制限が被告のサ−チ・エンジンから検出された映像に適用さ

れるかもしれないことも、知らされた。[注 13] 

これらすべてに基づき、当裁判所は被告がそのユ−ザ−に、原告の著作権を侵害させるこ

とになると「知るべき合理的根拠」を有していなかった、と認定する。被告は索引中に、

映像には使用制限があり得ることを警告し、たとえ縮小サムネイルの形であっても、複製

して使う前に、原ウエブ・サイトで照合して確認するよう指示している。

原告の映像はウエブ・サイトにディスプレ−されているから、著作権侵害を受けやすい。

原告は、被告のサイトのユ−ザ−の方が原告の著作権を侵害するおそれが大であることも、

これらのユ−ザ−の誰かが実際に侵害したことも、または被告が侵害を予期すべきであっ

たことが合理的であることも、証明しなかった。

原告のDMCAの請求につき、正式審理を必要とする重大な事実の真正な争点はなく、略式判

決は適正である。当裁判所は、DMCA 1202 条の違反はなかったと認定する。DMCAの請求に

つき被告の申立は認め、原告の申立は棄却する。

日時:   1999年12月 

                                        

                        GARY L. TAYLOR

                        連邦地方裁判所裁判官

[注 1]  この普通サイズの映像は、技術的には被告のウエブ・サイトに置かれていなか

     った。それは原ウエブ・サイトへのリンクを開くことによってディスプレ−さ

     れた。しかし映像それ自体だけで、原ウエブ・ペ−ジの他の部分は、映像属性

     ペ−ジにはディスプレ−されなかった。ユ−ザ−の視点からは、映像の出所は、

     映像がディスプレ−された全状況ほど重要ではない。

[注 2]  被告の現在のサ−チ・エンジン ditto.com は、すこし異なる働き方をする。

     ditt.comユ−ザ−がサムネイルをクリックすると同時に、2つのウインドウが

     開く。1つのウインドウには普通サイズの映像が現れ、もう1つには原ウエブ

     ・ペ−ジ全体が現れる。

[注 3]  映像は、サムネイルが作られるまで、被告のサ−バ−にしばらく全体が貯えら

     れ、それから削除される。合同申合わせ、パラグラフ 32 。被告がこの期間中

     に、普通サイズの映像にアクセスを提供したとの主張はない。

[注 4]  Nature誌の記事を公知の事実で裁判所が確知することを被告が申立て、原告が

     その申立に反対したことは、いずれも不適切である。両当事者は、事実の合同

     申合わせの証5として、この記事をすでに含めている。

[注 5]  本件の使用は商業的であるが、それは異例のもので、他の多くの商業的使用ほ

     ど重大ではない。例えば、原告の映像が被告のウエブ・サイトの広告に、無断

     で用いられたとしたら、公正使用が認定されることはまずないであろう。

[注 6]  両当事者は、「robots.txt」ファイルまたはその他の方法を用いて、Ditto ク

     ロ−ラ−をウエブ・サイトから遮断する可能性について長々と議論している。

     被告は、原告の映像がすでに索引づけされた後の3月、Ditto クロ−ラ−を遮

     断する指示をそのウエブ・サイトに掲示した。原告のウエブ・サイトは、これ

     らの遮断方法のいずれも使ったことはない。

     過去において Dittoクロ−ラ−は、遮断されたと思われていたサイトをアクセ

     スしたようである。原告は、このことが被告側の悪意の証拠であると論じ、そ

     の結果公正使用の抗弁は排除さるべきであると提案している。記録によれば、

     被告はこの種の問題に気付いた時、それを正そうと努力して、悪意で行為しな

     かった。

[注 7]  被告はまた、Arriba Expressという今では使われていないソフトウェア製品の

     販売促進をしようとした。Arriba Expressは、ユ−ザ−が原ウエブ・サイト全

     体を「真空化」し、サムネイルを指すだけで、コンピュ−タにそれを貯えるこ

     とができるようにした。合同申合わせ、パラグラフ 45-50、証18。映像は、原

     ウエブ・サイトからの全コンテンツとともに、貯えられることになろう。  

     Arriba Expressはサ−チ・エンジンの機能に関係した機能を果たし、被告のそ

     の販売促進は「商業的使用」の関係した1つのタイプを表している。

[注 8]  もっと新しいサ−チ・エンジン、ditto.com は、映像属性ペ−ジを除去し、同

     時に普通サイズの映像とともに原ウエブ・ペ−ジを開くことによって、この問

     題を緩和するように見える。

[注 9]  「著作権管理情報」とは、該当部分において以下のように定義されている。

     デジタル形式を含む、著作物の … 複製物 … または著作物のディスプレ

     −に関連して伝達される以下の情報のいずれかで … :

     (1) その著作物を確認する表題その他の情報。これには著作権表示に述べられ

       た情報が含まれる。

     (2) 著作物の著作者の氏名およびそれに関するその他の確認的情報。

     (3) 著作物の著作権者の氏名およびそれに関するその他の情報。これには著作

       権表示に述べられた情報が含まれる。

     17 U.S.C. §1202(c) 。

[注 10] 1202(b) 条はその該当部分で、以下のように規定する。

     何人も、著作権者または法律の許可なく、

     (1) 著作権管理情報を故意に除去または変更してはならない。

       … … … …

     (3) 著作権管理情報が、著作権者または法律の許可なく、除去または変更され

       たことを知りながら、そのことが[連邦著作権法]の下の権利の侵害を誘

       発、可能、容易または隠蔽すると知り、または 1203 条の下の民事救済に

       関して知るべき合理的根拠を有しながら、 … 著作物の複製物を … 

       配布してはならない。