SOFTIC SYMPOSIUM'99

契約問題・想定質問


SOFTIC国際シンポジウム'99」では第1セッションで電子商取引における契約問題を議題とします。そこで、議論の前提を共通化するため次のような想定質問を題材とします。

I. XはネットサーフィンをしてCGの画像を販売しているYのウェブサイトを見つけた。XはY1という画像を気に入り、それを自分のコンピュータの壁紙に使うため、購入することに決めた。XはYのウェブサイトの購入画面にアクセスし、Y1を選択し、自分のクレジットカード情報をタイプし、クリックして注文を送信した。Yは購入確認画面を送信し、そこでXが購入確認ボタンをクリックするとY1のデジタルファイルがXの元にダウンロードされた。

 上記の例で、

  1.  XとYの契約は何時成立したのか。
  2.  Y1のダウンロード中にエラーが生じ、データの一部が届かなかった場合、Xには何ができるか。
  3.  Yweb上ではY1はサムネイル(thumbnail)で表示されていたためよく見えたが、ダウンロードしたY1が予想に反して品質の悪いもので、使用に耐えないことから、Xは契約を解除したいが可能か。解除できるとすれば、その法的根拠は何か。
  4.  XはY2を購入するつもりで、入力時に誤ってY1を選択してしまった場合、Xには何ができるか。Y1について契約は成立しているか。Y1について契約が成立しているとすると、Xは錯誤による契約の無効(取消)を主張できるか。
  5.  Xが会社で、同社のパンフレットにY1を使用するつもりであった場合には、1.から4.に違いがあるか。
  6.  Y1の納品がダウンロードではなく、CGデータがFDに格納された状態で送付される形態であった場合には違いがあるのか。
  7.  Xがあなたの国民でYが外国にある会社の場合、逆にXが外国人でYがあなたの国の会社である場合に、1.から6.についてあなたの国の法律が適用になるのか。
  8.   ZがXに成りすまして設例の行為を行った場合に、契約は成立するのか。成立するとした場合には、誰と誰の間に成立するのか。Xへの成りすまし行為について認証がある場合とない場合で違いはあるのか。

II. A社は、社内で使用する消耗品について最も合理的な価格による購入を目的として、web検索購買システムを稼働させた。このシステムは、常にインターネット上のwebを検索し、社内で使用する消耗品のリストと必要数量、購入希望価格のデータベースにより、条件に合致する商品を発見した場合には自動的に発注を行うものである。
  B社はオフィス用消耗品の販売会社で、インターネットのweb上に受注システムを用意している。B社のシステムは、供給できる商品のリストと数量、価格、発送時期のデータベースにより自動的に発注を受け、受注すると自動的に納品データを作成し、B社はこのデータにより納品を実行して、請求する。
  A社のシステムはコピー用紙2万枚をB社のシステムに発注したところ、B社のシステムはこれを20万枚の受注として処理し、20万枚の納品がなされた。A社は発注が2万枚であるとして、18万枚の受け取りを拒否した。受発注のエラーについての原因は不明である。

上記の例について、

  1. AB間に契約は成立しているのか。
  2. 契約が成立しているとした場合、契約はどの時点で成立したのか。
  3. 契約が成立している場合、契約は、何枚について成立しているのか。

以上