●付属機関 特許・技術情報センター 事業の概況● |
【CSDB電子化情報作成事業の概況】
ソフトウェア関連技術の動向に係る情報の収集
特許庁では、ソフトウェア関連発明の効率的な特許の審査・審判に資するため、コンピュータソフトウェアデータベース(CSDB)を構築し、審査官・審判官の利用に供しているところです。
本事業は、上記CSDBに蓄積する非特許文献の収集、解析、電子化を行うもので、具体的には以下のような業務を行っています。
(1)収集予定リストの作成
国内で発行されている単行本、マニュアル、雑誌、企業技報、団体機関誌、学会論文誌、学会予稿集等の発行状況を網羅的に調査し、学識経験者、法曹関係者、ソフトウェア業界等の有識者から構成されるCSDB検討委員会の意見や助言等を参考にCSDBに蓄積することが有効と考えられる文献を選定します。
調査対象の文献として、従来は、書籍やCD−ROMなどの有体物に固定された資料を中心に調査を行っていましたが、近年はインターネット上の情報も無視できない状況となっており、インターネットで公開される学会論文誌、企業技報、規格関連等の技術仕様書等も調査対象としています。
蓄積の候補となった文献は、CSDB検討委員会における検討及び特許庁の承認を得て収集予定リストとして収集対象の文献が決定されます。
(2)文献収集
市販されている単行本、雑誌、学会論文誌等は、書店に発注し、既発行の文献は速やかに、定期刊行物等は発行直後に文献を入手すようにしています。なお、企業や学会が直接販売しているマニュアルや学会誌は発行元に依頼して速やかに入手するようにしています。
無料で頒布されている企業技報や無料で入手可能なマニュアル類については、発行元に依頼して寄贈を受けるようにしています。
インターネットで公開される、雑誌、学会論文誌、技術仕様書等については、必要な場合は会員登録をして、ダウンロードした上で公知日を確保するためにタイムスタンプを付与します。
(3)文献調査(解析)
特許庁において効率的に検索が行えるようにするため、収集した文献に検索キーの付与等を行います。具体的には、マニュアル及び単行本は文献単位で、その他の書籍についてはCSDBに蓄積することが有用と認められる記事を抽出して、記事単位でCSテーマ、CSタームの付与、フリーワードの抽出、抄録の作成を行います。
これらの文献調査を迅速に実施するために、在宅で解析業務を行う文献調査実施者が約100名登録されています。文献調査実施者が行った調査結果は、調査指導者が全件チェックを行い、文献調査の精度を担保するようにしています。
マニュアル、単行本、技術仕様書については、内部で文献調査を行いますが、これらについても全件チェックが実施されます。
(4)電子化情報の作成
文献調査と並行して、CSDBに蓄積するために、文献のイメージ情報及びOCRによる全文コードデータを作成しています。
イメージデータについては、審査・審判業務に支障のないよう全件目視チェックを行っています。また、OCRによるコード化についても、手作業による囲い込みや色彩の調整等のノウハウにより非常に高い精度を達成しています。
(5)外部公開に関する著作物利用許諾の取得
CSDBは、特許情報プラットホーム(J-PlatPat)を通じて、特許庁の外部からも利用可能となっています。しかし、一次文献等の公開には著作権者の利用許諾が必要となるため、当センターにおいて利用許諾の要請を行っています。
著作物利用許諾が得られたものについては一次文献及び抄録についてもJ-PlatPatから参照可能となっています。