平成9年7月1日、ソフトウェア関連技術の動向に係る情報の収集の事業を実施することを目的として、当財団の事務局に附属機関として「ソフトウェア特許情報センター」(平成29年4月1日より「特許・技術情報センター」に改称)が設置されました。
特許・技術情報センターでは、特許庁の審査等における先行技術調査に用いるコンピュータソフトウェアデータベース(CSDB)構築にあたり、CSDB検討委員会を運営し、コンピュータソフトウェア関連技術に関する対象文献の発行動向を調査した上で文献を収集し、検索を容易にするための検索キーの付与などを行っています。
● | 名称 | 特許・技術情報センター |
● | 英文名 | Patent & Technology Information Center (PIC, SOFTIC) |
● | 設立 | 1997(平成9)年7月1日 |
● | センター長 | 日下 善之(常務理事) |
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住所 |
〒105-0003 東京都港区西新橋3-16-11 愛宕イーストビル14F TEL:03-3431-2271 FAX:03-3431-2275 [案内図] |
1985年の著作権法改正により、コンピュータ・プログラムは著作権法上の著作物として保護されることが明確化されましたが、特許庁も、コンピュータ・プログラムの保護の範囲を漸時拡大してきました。
特許法に規定する発明となるためには、アイデアが自然法則を利用したものでなければなりません。1975年の審査基準では、コンピュータの制御対象が自然法則を利用するものであることが必要とされていましたが、1993年の審査基準では、コンピュータのハードウェア資源を制御すること自体が自然法則の利用であるとして、例えば、数式の計算方法であっても、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されていれば自然法則利用の要件を満たすこととされました。また、特許請求の対象も、1997年に「媒体に格納されたプログラム」まで拡大され、2000年にはプログラム自体も特許可能となりました。
これらへの対応として、特許庁はコンピュータソフトウェアデータベース(以下「CSDB」という)を整備して特許の対象が拡大された分野の先行技術調査が可能な環境を整備することとしました。
当財団では、CSDBの有効なデータベース構築に向けた提言を行い、CSDBの構築にあたって以下のような業務を実施しています。
コンピュータソフトウェア関連発明の審査が的確に実施されるように、データベースにどのような文献を蓄積すべきかを文献の発行状況や最新の技術の動向、検索の効率化等の観点から総合的に議論して方針を決定しています。
CSDB検討委員会は、様々な観点からの意見を反映するため、学識経験者、法曹界、弁理士、ソフトウェア関連発明の出願を行っている企業、データベース提供事業社等の委員で構成しています。
コンピュータソフトウェア関連の情報が掲載された文献等を網羅的に把握するために、直近に発行された単行本、コンピュータマニュアル、翌年度に収集が可能な学会誌、雑誌等の発行の調査を継続的に行い、CSDBへ蓄積すべき文献の情報を収集しています。また、近年、インターネットで公開される資料や展示会で配布される資料が増加しており、これらについても継続的に調査し発行動向を把握しています。
これらの調査は、永年の経験と最新の発行動向に対する見識を有する職員と、さらにコンピュータソフトウェア関連発明の特許審査に知見を有する職員が担当し、収集した文献の情報の中から蓄積すべき候補文献を選定し、CSDB検討委員会での審議を経て収集予定書籍リストの作成を行っています。
書店やネット通販を通して収集予定書籍リストに掲載された文献の収集を行います。入手が困難なものもこれまでのノウハウを駆使して可能な限り収集する体制を整備しています。それでも売り切れや廃刊で収集が不可能な場合には、同様の内容が記載された文献を調査してCSDB検討委員会に提案し収集に加えます。
インターネットで公開される資料は、独自のシステムを利用して効率的にダウンロードし、タイムスタンプを付与して公知日を確定しています。
また、展示会については、財団から主催者に連絡を取ったうえで職員を展示会に派遣し資料の収集を行っています。
検索を容易にするために文献ごとに検索キーを付与し、データベースとしての継続性が維持されるよう独自の品質管理を行います。検索キー付与にはソフトウェア関連発明を出願した経験のある技術者が担当していますが、校閲者による全件校閲を行うとともに、AIを利用して業務の効率化、正確性の向上により担当者のバラツキの抑制等を図っています。
現在、新規募集は行っておりません。