海上保安庁は、AIイラストを使った「ウォーターセーフティガイド」リーフレットの配布を中止したという(2024.4.l BuzzFeed)。「生成AIで製作したものだと明かした上で『SNSでの反響などを考慮してリーフレットの配布と公式サイトの掲載を中止した』と編集部に説明」したのだそう。エープリルフールかと思った(失礼!)。後追いの報道も出ているが、それらを総合すると、SNS上で「著作権侵害ではないか」「イラストレータの職を奪う」といったような反響が少なからずあったという。SNSをチェックしてみることはしない(できない!)が、後追い報道が重なっていることと、海上保安庁のXで確認できる差替え前のイラストと、現在、海上保安庁のホームページで確認できるリーフレットとの違いからすると、海上保安庁がそのような対応をしたことは事実なのだろう。

3月にバンド「ゴールデンボンバー」の鬼龍院翔さんが配信を始めた「配信者に便利な歌抜きBGM集」でジャケット写真代わりに生成AIによるイラストを使ったところ、上記と似たような反響があり、差替えたという(顛末についての鬼龍院翔さんのXのポストが素晴らしいと思う。差替えられたイラストも、皮肉が効いていると思った)。同様の騒ぎは他にも散見される。

尤も、誰かの作品を捕まえて、パクリだぁ、著作権侵害だぁ、なんだかんだという騒ぎが起こることは、生成AI登場以前からあったことで、記憶に新しいところでは、東京オリンピックのエンブレムの事件(と、その騒動の過程で明らかになった佐野研二郎さんの作品に纏わるいろいろ)があった。

それらが他人の権利の侵害物かどうか、法的な問題を孕む作品であるかどうかに関わらず、SNS上で騒然となってしまうこと自体に対して慎重に対応しようというのは、いわば大人の対応なのだろう(キャンセル・カルチャやコールアウト・カルチャと呼ばれるものへの対応は大事なリスクマネジメントでしょう)。ただ、生成AIが他人の著作物を含む既存の情報を学習しているということを理由とする、生成AIを使うこと自体への批判も含め、こうした昨今の騒動に色々な点で違和感を覚えるのは私だけだろうか。

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April 5, 2024 • 1:06PM

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